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真田十勇士
巻ノ百五十一 決していく戦その四

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 突如として宙に現れた無数の鉄砲からの銃撃により吹き飛ばされた、そこに鉄砲だけでなく炮烙もだった。
 放たれてだ、人形達は影も形もなくなっていた。それを見てだった。
 傀儡は唸ってだ、こう言った。
「まさか」
「そう、今のが秘術だ」
 穴山は姿を出した、そうして傀儡に答えた。
「わしのな」
「一気に鉄砲を出し」
「その鉄砲から鉄砲を風の様に動いてな」
 姿が見えないまでの速さでだ。
「撃ち続けそして」
「炮烙も鉄砲と同じだけ放ってでありんすな」
「攻める、一つの鉄砲で倒せずともな」
「それが多いならば」
「この通りじゃ、お主の自慢の人形達もな」
 傀儡の意のままに動き一発の鉄砲では倒れぬ彼等もというのだ。
「倒せるのじゃ」
「そうでありんか。では」
「お主の負けじゃな」
「はい」
 このことを認める返事だった。
「あっちの負けでありんすよ」
「それならよい」
「よい?」
「わしの戦は終わりじゃ」
「あっちの首を取らないでありんすか」
「わし等が欲しいのは勝ちじゃ」
 首ではなく、というのだ。
「それじゃ。だからな」
「あっちの首はでありんすか」
「別にいいわ」
 欲しくないというのだ。
「その奇麗な顔を大事にしておけ」
「ううむ、そうでありんすか」
「そうじゃ、ではな」
「それで、ではでありんすか」
「わしは殿をお迎えに行く」
「では」
「さらばじゃ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 穴山は幸村の気を辿ってそちらに向かった、傀儡はその彼を観るだけだった。
 道化と由利も闘い続けている、道化は由利に攻撃を仕掛けつつだ、風の術と鎖鎌を使う彼に対して言った。
「いや、どうにも」
「どうにも。何じゃ」
「見事な腕前ですなあ」
 こう言うのだった。
「流石は十勇士か」
「そう言うお主もな」
 由利もこう返した。
「中々どうしてな」
「見事だと」
「そう思うわ」
 まあにというのだ。
「わしもな」
「そうですか」
「うむ、しかしな」
「しかし?」
「お互いこのままではいかんな」
 闘い続けていてもというのだ。
「そうであるな」
「ははは、それは確かに」
 道化も笑って応えた。
「千日闘う訳にもいきませんわ」
「ならそろそろ決めるか」
「お互い秘術を出して」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「決めるか」
「さすれば」 
 道化も頷いて応えた。
「そうしましょうぞ」
「負けんぞ」
「わしもですわ」
「ではお互いにな」
「秘術を見せ合おう」
「これより」
 二人で言い合ってだった。
 道化はその杖から重力の穴を出した、それで由利を吸い込もうとする。由利は穴から強烈な全てを吸い込む力を感じてだ。
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