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空に星が輝く様に
508部分:第四十話 それぞれの幸せその七
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第四十話 それぞれの幸せその七

「お化け屋敷にさ」
「あそこは本当に凄いって聞いてます」
「そんなに凄いんだ」
「病院がモチーフになっていて」
 既にだ。月美はこのことも知っていた。
「それでもう卒倒する位怖いらしいって」
「怖いっていうのは聞いてたけれど」
「とにかく凄いらしいですよ」
 また言う月美だった。
「そこには絶対にですね」
「他の場所もだけれどな」
「他もですね」
「遊園地って色々あるから」
 それが遊園地の醍醐味である。色々な場所があって楽しめる、そうした場所なのだ。
「そこを巡って」
「デートですね」
「俺達ってそうしたデートしたことなかったよな」
 月美にもこのことを尋ねた。
「そうだよな」
「あっ、そうですね」
 月美は言われてだ。そのことに気付いた。それが顔にも出ていた。
「そういえばこれまでって」
「アーケードとか映画館とかで」
「そうした場所はなかったですよね」
「だからいいかなって思ってさ」
 陽太郎はここでこのことも話した。
「狭山達とも話してさ」
「決められたんですね」
「そうなんだよ。それじゃあさ」
「はい。じゃあ何時にしますか?」
「今度の休みにしないか?」
 陽太郎は日も述べた。
「それでどうかな」
「わかりました。それじゃあその時で」
「そうしような。剣道部も居合部も休みの時にさ」
「そうですね。そこで二人仲良く」
「デート。しような」
「はい、二人で」
 にこりと、清らかな笑顔で応える月美だった。彼女は今幸せを噛み締めていた。そしてだ。そんな彼女達を見てだ。椎名も言うのだった。
 マジックに入ってだ。そこでコーヒーを片手にぽつりと呟いていた。
「いい流れね」
「そうだね。皆ね」
「難しいことだけれど誰もが幸せになれたら」
 どうかとだ。椎名はテーブルを挟んで向かい側の席にいる赤瀬に対して述べた。二人もデートを楽しんでいるのだ。喫茶店での。
「それで言うことはなし」
「確かにそれって難しいね」
 赤瀬も言った。
「誰もがってなるとね」
「人の望みはそれぞれ違っていて」
「重なることもあるから」
「だから誰もが適うことは難しい」
 それでだというのである。
「それが世の中」
「そうだね。けれどね」
「そう。人はその中で生きるものだから」
「仕方ない部分もあるのね」
「何でも自分の思い通りにしようとする」
 椎名の言葉はここでは批判めいたものになっていた。声の響きもだ。
「そして他人を平気で騙して利用する様な人間は」
「駄目だね」
「それは悪」
 一言だった。
「悪だから」
「絶対的な善悪は関係なくても」
「そう。自分しかなくて自分の思う通りにしたくて」
 批判的な言葉を続けていく。
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