機動戦士ガンダム
2152話
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『では、私達はこれで失礼する』
そう告げ、キシリアは通信を切る。
同時に、グワジン級と呼ばれている軍艦がグラナダから発進していった。
このグワジン級が一番最後まで残っていた軍艦で、それにキシリアが乗っていたのは……まぁ、一種のポーズだろう。
自分は最後まで戦場に立っているのだということを示す為の。
勿論、俺がその気になればグワジン級が破壊されていた可能性は高いのだから、そういう意味でポーズであっても命懸けなのは間違いない。
キシリアにしてみれば、今回の一件で間違いなく影響力を落とす。
突撃機動軍の本拠地のグラナダを、たった1機のMS――正確にはMSではないが――に陥落させられたのだから、当然だろう。
そんなキシリアにとって、少しでも自分の影響力を残そうと考えるのは、当然の事だった。
涙ぐましい努力と言ってもいいが、今回の件でキシリアはなくしたばかりという訳でもない。
少なくても……こうして、俺はしっかりとキシリアの名前を覚えたのだから。
俺と顔見知りになれたというのは、キシリアにとっても決して悪い話ではないだろう。
もっとも、俺と顔見知りになるのとグラナダを維持するののどちらかを選べと言われたら、普通なら間違いなく後者を選ぶだろうが。
ともあれ、キシリアが消えたのを確認してから、俺はシーマに通信を入れる。
「シーマ、そっちから見ても分かると思うけど、突撃機動軍の面々は既に全員がいなくなった」
『あいよ。こっちからも見えてる。……それにしても、あたし達を顎で使っていた……いや、認識すらしていなかったザビ家の女が尻尾を巻いて逃げる光景ってのは、見てて気分がいいね』
それこそ、爽快感極まるといった様子で笑みを浮かべるシーマ。
いやまぁ、自分達を騙してG2という毒ガスを使わせるような真似をした連中が逃げ出しているのだから、その気持ちも分からないではない。
……そう言えば、実際にシーマ達に命令をしたアサクラは、結局どうなったんだろうな。
キシリアに聞いてみればよかったのか?
もっとも、聞いたからといって素直に教えるとは思えないが。
「とにかくだ。シーマの部下と黒い三連星は一応グラナダの地理についても詳しい筈だ。そうである以上、妙な仕掛けとかがないのかどうか、そして隠し通路とかそういうのを調べるのは任せる」
『あいよ。……って言いたいけど、実際にそれを調べるのは量産型W達なんだろ?』
「まあな」
人間が調べるよりも、メギロートやバッタ、量産型Wといった連中の方が能力は高い。
全てにおいて完璧という訳ではない以上、それをフォローする為にシーマ艦隊や黒い三連星が派遣されたのだが。
とはいえ、黒い三連星はともかく、シーマ艦隊は元突撃機動軍の所属ではあっても、その能
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