第四章
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「平家も然り、木曽殿も然り」
「そして私もか」
「はい、ですから」
「このままだと討たれるか」
「陸奥守殿がおられなくなれば」
今は義経を匿えて頼朝にも対することが出来る資質がある彼がそうなってしまえばというのだ。
「太郎殿では」
「そう言うか、しかしな」
「それでもですか」
「私は兄上を信じたいし太郎殿もな」
「信じたいですか」
「そう思っているのだが」
「ではです」
西行は義経の思いが強いことを知った、それではだった。
ここで義経にだ、こう申し出たのだった。
「拙僧もです」
「信じて欲しいとか」
「はい、何かあればです」
その時はというのだ。
「すぐにここに駆け付け」
「そしてか」
「判官様のお力になりまする」
「そうしてくれるのか」
「はい、ですから」
「そなたを信じて欲しいのか」
「そうして頂けますか」
「わかった」
義経は西行のその目を見た、その目に一点の曇りもないことを。そうして西行に対して答えたのだった。
「ではな」
「そうして頂けますか」
「そうさせてもらう」
信じさせてもらうと言うのだった。
「ではな」
「はい、では信じて下さったことに対して」
「働いてくれるのか」
「必ず、では時が来ればまた」
会おうとだ、西行は義経に話してだった。
今は衣川を後にした、そこで一人密かに北の方に行きその地面をよく見てからみちのくを後にした。それから時が経ってだった。
西行は秀衡が世を去ったことを聞いた、するとすぐにだった。
その足でまた奥羽に向かった、その途中東国の不穏な動きと噂を見て聞いた。それは西行の足を自然に速めた。
そしてみちのくに入ると余計にであった、つわもの達が殺気立っていた。その彼等を横目に見つつ一路衣川を目指し。
義経主従の前に出てだ、こう言った。
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