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女の水虫
第三章

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「だからね」
「普通に体育は出てたけれど」
「それでもなのね」
「泳ぐにはなの」
「それはよくないの」
「そうなの、耳の調子が悪くて」
 中耳炎を匂わして誤魔化した。
「だからね、プールはね」
「そうなのね」
「じゃあ仕方ないわね」
「プールは私達で行くわ」
「そうするわ」
「そういうことでね」
 こう言ってプール等足を出すところには行かない様にしていた。それで家でも普段は冬でも靴下を脱いでだった。
 風通しをよくしていた、寒いのにコタツにも入らなかった。
「足冷えるのに」
「仕方ないでしょ、水虫だから」
 ローラは自分はコタツに入りながら足を出して座っている姉に言った。
「コタツだと熱で汗かいてむれてね」
「水虫が悪化するのよね」
「そうよ、だからね」
「コタツは駄目なのね」
「そして靴下もよ」
 見れば今もカレンは素足だ、足の指と指の間に確かに水虫がある。
「ちゃんとよ」
「今みたいに脱いで」
「そうして風通しをよくして」
 そしてというのだ。
「早く治すことよ」
「やれやれね」
「恨むのは水虫を恨むことね」
「実際恨んでるわよ、まさか私が水虫になって」
 ぼやいて言うローラだった、コタツの方に座りながらもその中には入られない自分と入っている妹を見ながら。
「こんなに苦しむなんて」
「だからまた言うけれどね」
「なったからにはなのね」
「早く治してもらわないと家族も迷惑だから」
「ううん、難儀ね」
「そう思うならね」
「ええ、早く治せってことね」
 もう妹の言いたいことはわかっていた、それでカレンの方から言ったのだった。
「そうよね」
「何度でも言うわよ」
「やれやれね」
 カレンは今はぼやくしかなかった、それでだった。
 寒いがそれでも素足でいることが多くしかもコタツにも入られずだ。足が寒い思いをすることが多かった。
 そうして足に塗る薬もだった。
 朝晩家族に言われて絶対に塗らされた、朝どれだけ忙しくてもだ。
「いい?お薬はね」
「忘れずによね」
「塗ってね」
 朝も言うローラだった。
「絶対に」
「今時間がないのに」
「塗らないとよ」
 それこそと言うのだった。
「治るのが遅くなるから」
「それでなのね」
「忘れずに塗って」
「それでよね」
「一刻も早く治してね」
「やれやれね」
「だからなったから仕方ないでしょ」
 妹の言うことは今朝も変わらなかった。
「朝も晩もね」
「お薬はしっかりと塗って」
「そしてよ」
「治すことね」
「そうしてね、全く」
 ローラは口をへの字にさせて姉にこうも言った。
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