第一章 オン・ユア・マーク
第一話 新たな始まり
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AIは妖精の目のオリジナルを持ってるって事?」
「その通り。彼女は、失われた技術。
いえ…未来の技術とも言えるブラックボックスの一部を有していました。その一部を俺とLで解読し、この妖精の目を完成させたんです」
おいおい。まさか、コタァーは知っている?
今から十数年前にあった…あの出来事について知っているっての?
「アンタ、何処まで知ってるの?」
「正確に言うなら何も知りません。本当に何も知りません。分かってるのは、LというAIは、とあるAIによって作り出された。という事です」
「AIが、AIを…?」
「貴女もご存知でしょう。『アル』と呼ばれるAIを」
正確にはアーバレストと言うべきなのだが、マオはその一言である程度は状況を理解できたらしい。
「まさか…また、その名を聞くなんてね。いつぶりかしら…」
アーバレスト────アルの言っていた通り、マオはアルを知っているらしい。
「でも。なんで、コタァーがアルの事を?」
「数ヶ月前にアルからメッセージが送られてきたんですよ。『私の娘を貴女に委ねます』と、それから複数のデータが、あちこちから転送されてきてそれを解読すると一つの言葉を指し示し、彼女は目覚めた。」
────オハヨウゴザイマス、パパ。
「それは、今と違って電子音ではなくパソコンの画面から表示される文章だったんですよ。
あの頃の彼女は産まれたばかり…いや、言葉を覚えたての幼児ですかね。あの頃は、まだ言葉を発せなかったんでチャットでやり取りをしてました。でも、ホントに酷かったんでしょ。Lとのチャットは…。
誤字脱字ばかりで何の意味も無い事を質問してくるしで大変でした。
でも、そんなある日。彼女は唐突に覚醒しました。」
「覚醒?」
「数日。たったの数日で全ての言語を学習し習得したんですよ。
その頃からLの知能は爆発的な進化を遂げました。」
昨日まで何も知らない無知な幼児が、次の日には俺がガキの頃に使用していたボカロのソフトを使って擬似的な人格まで『自力』で生成した。
「なんでも、アルからのメッセージによると『私と千鳥 かなめの人格をトレースし結合する事で産まれた新たな可能性』とか何とか言ってましたけど…千鳥 かなめって誰ですかね?」
恐らく、実在するであろう女の子の名前だろうが…余計な詮索はしない方が良いと判断し、アルには千鳥 かなめに付いては言及はしていないが、アルを知るマオなら千鳥 かなめの事を知っているかも知れないと判断し聞いてみる。
「んん…まぁ、友人ね。もう年々も会ってないわ」
懐かしげな表情でマオは言った。
「友人だったんですね」
「えぇ。とても大切で、かけがえのない友達よ」
とても大切で、かけがえのないも友達。
俺は…マオ社長の事を詳しくは知らない。
仕
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