第一章 オン・ユア・マーク
第一話 新たな始まり
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よっては覆せなくもないものだろう。
「……?
待って、さっき気になるワードが耳に入ったんだけど…」
「なんです?」
「とあるAIって…まさか、まさかだとは思うけど…」
どうやら、マオはそのとあるAIに心当たりがある様子だが、アイツはここに来てから俺以外の人間とは会話した事ない筈だから人違い…いや、AI違いだろう。
「そのAIの名前は…?」
「名前ですか?
名前は────」
「はい。はーい。呼ばれて起こされ、即参上!高性能美少女AIことLちゃんでーす!」
その声。いや、正確には音声合成を繋ぎ合わせて人間の声を真似た…なんだったか。確か、Vocaloidと呼ばれるものだったとマオは記憶しているが…何故、そのようなものがここに?
「L、起きてたのか?」
「先程、起動しました。いえ、正確には起こされました。気持ちよく眠っている最中にパパ達が私を起こしたんじゃないですかー?」
「すまんすまん。別に悪気は無かったんだ」
ごめんな、と軽く頭を下げる蟹瀬。
「コタァー、この声は?」
倉庫全体に響き渡るVocaloidの声にマオは問う。
「あぁ、彼女は────────」
「パパ、パパ。私の説明は私がします!」
「今、何時だと思ってるんだ。お前は寝てなさい」
「そうは言いますが、眠っていた私を起こしたのはパパ達さん達ですよ。次のスリープモードまで少し時間がありますしいいじゃないですか?」
「駄目だ。寝てなさい。
マスターコマンド、強制スリープモードに移行」
「あぁ!?パパ、ズルいです!そんな事したら…了解、マスター。強制スリープモードに移行します。スリープモード後は0630時まで解除されませんが、よろしいでしょうか?」
「問題ない。おやすみ、L」
「はい。マスター、おやすみなさい」
そうしてLと呼ばれるAIはスリープモード、眠りに就いた。
「変わったAIね。まるで、幼い女の子と会話してるみたいだった」
言葉と口調は合成音だが、二人の会話は何というか…まるで親子のようなものだった。
「それにコタァーの事をパパとか言ってたけど、そう呼ばせてるの?」
「まさか。アイツが、俺の事をパパと呼ぶのはAIの遊びだと思って下さい」
「遊び…ね」
AIは、あんな会話の受け答えはしない。いや、普通のAIにあんな高等な会話は不可能だ。
それをいとも容易く、流暢にやってのけるという事は相当、高度なAIなのだろうとマオは推測する。
「さっき言ってたわよね。妖精の目は、とあるAIの技術提供で簡略化したって、」
「えぇ。従来の妖精の目ではOmarのスペックを上回るので先程のAI、Lに協力してもらいました。俺だけの力では絶対に不可能だったのでLには感謝しても仕切れません」
「って事はよ。もしかして、そのLって
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