第一章 オン・ユア・マーク
第一話 新たな始まり
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「今回の模擬戦は、アンタの所の新型機とウチのお古の親善試合だからねぇ。何としてでも無理をしてでも観なきゃと思ったのに」
「???」
ウチのお古?
なんだろ。嫌な予感しかしない。
「そのお古って…まさかM9の事ですか?」
「そうだけどそれ以外になんかあんの?」
ですよね。はい。知ってましたよ、分かってましたよ。
「いえ、何でもないです。なんか泣きたくなってきたんで泣いてもいいですか?」
「おおっと、そう言いつつも涙目になってるけど大丈夫?」
「大丈夫じゃないですよ!」
なんか混乱してるけど異様に冷静な感じもする。
上の奴らが、今回の模擬戦の結果に拘ってたのはそういう事か。
民間軍事会社のマオ社長のコネを使ってM9を譲り受け、そのM9のお披露目を兼ねてウチの開発中の新型試作機を御前試合にも仕立て上げるつもりか!
「で、アンタの所の新型機は?
もう完成してるんでしょ?」
こちらの事情はお構い無しと言った表情でマオ社長は言う。
「試作機は…まぁ、数機ですが…完成しました」
「数機?」
「はい。今回の新型機は陸上自衛隊と海上自衛隊の共同開発ですからね。実験とテストを兼ねて開発したんですよ」
どちらも運用方法と運用する地形が違う訳だから、どちらも運用できる汎用機を作れ…と何にも知らないド素人のクソ上司共にしつこく言われたが…そんなの無理に決まってるだろ。市街地と山岳地帯、水上付近全てに対応出来る万能機なんて造れる訳ないだろ!
だから、今回は敢えて汎用機とはま逆の個性強めの特化形を数機も設計してやった。
「へぇー。まぁ、アンタの設計する機体にろくなのはいないから楽しみね」
「失礼な。俺は、万能機よりもワンオフ機にこだわりを持ってるんですよ」
戦場では、どこもかしこも似たようなASばかり…まぁ、それだけ信頼されている機体なのだと思えば納得も出来る。
だが、それではロマンにかけると言うものだ。
協調性よりも個性を極めた機体、汎用よりも何かに特化し、何かしらの弱点を抱えた機体。
俺は、少しじゃじゃ馬…暴れ馬だが、扱えさえすれば無双できる。そんなASが大好きだ。
これは俺の美学だと言ってもいいだろう。
「で、今回はどんな欠陥機を作ったのよ?」
どうせまたろくでもないの作ったんでしょ?とマオ社長は笑いながら言った。
「その顔は、今回も『どうせ』失敗作だと思ってるでしょ?
今回は自信あり、自信ありありですから期待してて下さい」
「あら、珍しく強気ね」
「珍しく、は余計です。
それに…アイツの助けも有りましたからね…」
「ん?何か言った?」
「いえ、何も。
そうだ。わざわざこちらにいらっしゃったんですから、うちの共同開発の試作機、見ていきませんか?」
今なら『アイツ
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