第一章 オン・ユア・マーク
第一話 新たな始まり
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の開発者としての切れは全く衰えていないようだ。
「ていうかさ。今更気付いたけど…このOmarってもしかして未完成なの?」
そして、マオはとてもいい所を付いた。
「ここ、最初は気付かなかったけど余分なスペースあるわよね。元はここに何かを組み込む予定だったんじゃない?」
やはり開発者として優秀なマオは、このASの本来の運用方法を見抜きつつある。
現代の蟹瀬の技術力では不可能だった────とある変形機構の跡に。
「そこまで気付くとは…流石ですね」
蟹瀬は、Omarの『元』となった機体の設計図をモニターに映し出した。
「これ、って?」
その機体の元となる素体は…恐らく、M9?だと思われる。だが、これは…。
「まさか────これって、」
人型では成し得ない。変形機構を備えた飛行能力を有するアーム・スレイブ?
よく見ると所々、Omarの構造と酷似しているが…これは完全な変形機構。人型から全く別の形態に変形する為の措置だ。
「アンタ、これはやり過ぎでしょ…」
もはやASの概念からぶっ飛んでいる。
これはASではない別の何かだ。
「まさか。アンタの頭が、ここまでぶっ飛んでるとは思わなかったわ…」
「それは褒め言葉として受け取っておきますよ」
「アンタねぇ…。まぁ、確かに少しは褒めてあげる。
ここまでASの概念から外れたものをASに組み込むとは恐れ入ったわ」
人型に飛行形態を組み込むのは安易な発想だと思われがちだが、その安易な発想はいつまで経っても導入されない。理由は明白、そんなの不可能だと決めつけるからだ。
人型では飛行には適さない。かといって飛行したまま武器を構えられたらどれだけ優位に戦闘を行えるやら…そうした経緯で、ASを一時的に浮遊させるブースターは開発されたが、それは一時的な飛行であり速度は中々だが、戦闘機に比べれば旋回能力の低いヘリコプターのようなものだ。真っ直ぐ早く飛べても旋回もままならない状態では飛行する事は出来でも自由に動くことは出来ない。
「これは、戦闘機か何かに変形するのよね?」
マオは変形後の姿をイメージした状態を確認する。
「でも、これじゃあドンパチには向かない」
いかにASが空を飛ぼうとASはASだ。
センサー類を誤魔化すジャミングを搭載していても対ECSセンサーで見破られるし、そもそも空中は何の遮蔽物もない。敵からすれば格好の的だろう。
「何ともユニークな機体よね」
意外と。もしかしたら実戦で配備されればカタログスペック以上の戦果を出せなくもないかも知れない。だが、問題は山ずみ…全てを解消する事は不可能だろう。だから、可能な限りの弱点を解消して長所である変形機構による飛行の優位性を出せるかが、この機体の有無に関わる。
「────────。────…」
「…
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