第一章 オン・ユア・マーク
第一話 新たな始まり
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フルメタル・パニック! オン・ユア・マーク?
『アーム・スレイブ』
1980年代半ばに開発された「armored mobile master-slave system」の略称であり、直訳すると従順追随式装甲システムと呼ばれる機動兵器。
開発の経緯には謎が多く、オカルトじみた噂も流れているが…現代の戦闘では主に、このアーム・スレイブ『AS』が戦場の支配者となっていた。
時は、西暦2018年。
「────ダメだ!!ダメだ!!!」
机の上を散乱していた書類を突き落とし、駄々をこねる子供のように暴れ回る青年。
彼の名前は蟹瀬 康太。
陸上自衛隊と海上自衛隊の開発顧問を兼任する技術者だ。
「…はぁ。なんで、こんな面倒事を引き受けちゃったのかな…」
床に散らばった膨大な枚数の書類を見て蟹瀬は大きく溜息を付いた。
あの時の自分は調子に乗っていた。いや、調子に乗らされていた…と言うべきか。
飲み会で、空気を吸うように酒を飲まされ、酒の勢いで自分を見失い。気付けば、今後の陸軍と海軍の架け橋となる一大プロジェクトの責任者に任命された。
殴りたい。あの時の自分をぶん殴りたい。
そして、酒で酔わせて俺の思考を狂わせたクソな上司共もぶん殴りたい。なんで、あの時の自分は…そんな大役を引き受けたのか…。
「…はぁ…」
悲観しても仕方ない、と分かっていても任されたプロジェクトの重要性を再認識すると落ち込まずにはいられない。
取り敢えず、床に散乱した書類を掻き集め、まとめて机の上に積み上げる。
新型のASの稼動実験の詳細を記した書類はなるべく机の中央に置いといて、来月から使用から必要とするトイレ掃除当番表は机の済に…。
「あとは、これはいつまでだったか…」
いつから置いてあったか解らない紙切れ。
内容は────今月から陸上自衛隊に配備されたAS『M9』の試運転を兼ねた模擬戦?
おいおい。なんだこれ?
こんなの受け取った覚えは……。
いや、待てよ。そう言えば────────。
「蟹瀬主任。この書類なのですが、」
「今、手が離せないからそこに置いといてくれる!?」
「かしこまりました。では、こちらの隅に置いておきますので後程、ご確認下さい」
「はいはい。後で目を通しておくよ!」
って、やり取りが…有ったような無かったような。
最近忙し過ぎて最優先すべき事と後回しにしても大丈夫な案件の境目が、とても曖昧になってしまっている。
そして、この案件は今すぐにすべき事だと一目で認識できてしまった。
「マジかよww
このくそ忙しい時に!」
疲れすぎて笑ってしまう。
人間という生き物は疲れると笑ってしまう生き物のだと、今回の件で理解してしまった。
「てか、この案件は俺
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