第四章
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だがそこで部活に行く前にこっそりとそうしていた栗子を見た、それで思わず爆笑してしまったのである。
「噂は本当だった!坪木先輩は禿だったんだ!」
「・・・・・・・・・」
涙さえ流して笑う後輩にだ、栗子は。
全身を漆黒の炎で堤み目を真っ赤にさせたうえで襲い掛かった、そうして。
その顔に正面からアイアンクローをかけつつ問うた。
「今何か言った?」
「い、いえ何も」
「私が禿とか言わなかった?」
「言ってません言ってません」
後輩はアイアンクローをかけられたまま答えた。
「断じて」
「そうよね、私は禿げてないわよね」
「ふさふさです」
「額広くないわよね」
「全然」
必死に答える後輩だった。
「狭いですよ」
「そうよね、じゃあいいわね」
「はい、二度と笑ったり言ったりしません」
「今度言ったらもっと痛いわよ」
全身に怒りのオーラをみなぎらせて言うのだった、この光景は全てたまたま一緒に部活に行こうと誘いに来た女子野球部の面々が見て学校中の話題になった。
とかく栗子は自分の額が広いことを気にしていた。だがその栗子がある日その額を隠している前髪を左右に分けて堂々と見せている髪型にして登校した、これには八条学園高等部商業科全体が激震に包まれた。
「えっ、坪木先輩が!?」
「厚生委員長が額を見せてる!?」
「あの人禿てること気にしてるんじゃ」
「額が広いことを」
「それが何故!?」
「どうして額を見せてるんだ!?」
誰もがこのことに仰天した、それで厚生委員会でもだ。
このことが話題になった、彼等は委員会の会議が開く時に集まってこのことを話題に出したのだった。
「委員長額出してるけれど」
「何なの、あれ」
「どういった風の吹き回し?」
「急に額出してな」
「前までちょっと話したら激怒してたのに」
「裏の顔出してたのに」
鬼神みたいなそれをだ。
「それで育毛剤まで塗ってたっていうのに」
「それで何故?」
「どうして額見せてるのよ」
「何かのおまじない?」
「それとも何か変なことが起こる前触れか?」
誰もがこんなわをしていた、しかし。
そこで三年の厚生委員達、後輩達に栗子の裏の顔のことを話した彼女達が部屋に入って来て言った。幸い栗子は男子の厚生委員長と先生を呼びに行っていてまだ会議室にはいない。
「皆委員長のことわかったわよ」
「あの娘のことがね」
「何のことかはわかるわよね」
「もうね」
「おでこのことですよね」
一年の後輩が手を挙げて言ってきた。
「そうですよね」
「ええ、そうよ」
「そのおでこのことよ」
「あの娘が何故おでこを出してるか」
「そのことでよ」
「あれどういうことですか?」
後輩は先輩達に真剣そのものの顔で問うた。
「
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