第二章
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栗子は黒髪、かなり長い日本人形の様な姫カットも有名だ。だがその前髪奇麗に切り揃えてセットしているそこがはじまっている部分がだ。
普通の人よりかなり上にある。それで言うのだった。
「委員長ひょっとして」
「髪の毛が、ですか」
「額のところが」
「それがなんですね」
「そう、あの娘額かなり広いの」
「つまり禿なのよ」
三年生達もこのことを言う。
「あの娘はね」
「額がかなり広いの気にしてるの」
「自分は禿じゃないかってね」
「そのこと指摘されたり笑われたら切れるから」
これが栗子の裏の顔だというのだ。
「あの娘動き速いし小柄なのに力強くてね」
「特に握力凄いのよ、女子野球部でいつもバット振ってボール投げてしかも厚生委員会で色々もの持つし」
もっと言えば運んでもいる。
「殴ったり蹴ったりしないけれど」
「髪の毛の話をしたらアイアンクローするから」
「それが滅茶苦茶痛いらしいし」
「髪の毛、特に額のことは言わないことよ」
このことが問題だというのだ。
「いいわね」
「言ったら魔闘気全身にまとったうえでのアイアンクローよ」
「あの娘林檎握り潰せるから」
「そんなの受けないことよ」
「わかりました」
一年生達は林檎を握り潰せるという言葉に蒼白になりつつ頷いた。
「委員長の髪の毛のことは言いません」
「もう絶対に」
「物凄い裏の顔ですね」
「怖いですね」
「そうよ、いいわね」
「そこは気をつけてね」
三年生達もくれぐれもと言う、とかく栗子は自分の額が広いことを真剣に気にしていた。それでだった。
いつも額を前髪で隠していた。女子野球部でもいつも帽子やヘルメットで前髪がめくれない様にしていた。しかし。
練習試合の時だ、事情を知らない相手校の生徒がついつい言ってはいけない野次を飛ばしてしまった。
「へいへいセカンド帽子取りなさいよ」
「何で礼の時以外帽子取らないの?」
「ひょっとして禿げてるの?」
「十代で女の子なのに禿げてるの?」
「禿げてないなら時々でも帽子取ったら?」
こんな野次を飛ばした、すると。
その野次を聞いた瞬間にだ、栗子は。
全身を黒い魔闘気で覆い目を真っ赤にさせた、そうしてだった。
無言でセカンドのポジションから相手校のベンチにダッシュで行こうとした、しかし。
ナインがだ、その彼女を必死に止めて言った。
「試合中よ、試合中」
「落ち着いてね」
「野次で言われたことは野球で返そうね」
「先輩、ここはこらえて下さい」
「そうね」
栗子は真っ赤に光る目で応えた、形相も世紀末覇者の様になっている。
「ここはね」
「そう、ここはこらえて」
「野球で返してね、本当に」
「アイアンクローはしないことよ」
「他の学校の娘にやったら
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