第四章
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彼は実際にその英雄と会ったことに感激したそのことを忘れずに戦った、それは戦争が終わって随分と経っても変わらなかった。
ドイツは戦争が終わり敗戦と恐慌のダメージを克服し軍備を再び整え空軍もかなりのものを持った。その空軍を見てだ。
ドイツ航空相であり空軍最高司令官でもあるヘルマン=ゲーリングは白い軍服を着たうえで後ろに控える部下達に言った。
「いいか、ドイツ空軍は復活した」
「はい、今ここに」
「完全に」
部下達もこう彼に応えた。
「これで何時何があろうとも」
「ドイツは空でも戦えます」
「そうだ、後はだ」
空を堂々と飛ぶ航空機達を見つつだ、ゲーリングはさらに話した。その航空機は単葉機ばかりであり一次大戦で彼が乗っていた複葉機とは全く違った形になっている。もうあのタイプの航空機は完全に旧式になっていた。
「優れたパイロット達を育てるぞ」
「かつての一次大戦の様な」
「あの時の閣下の様な」
「私ではない」
ゲーリングは部下達のうちの一人の言葉に顔を向けて否定の言葉を返した。
「私以上の方を目指してます」
「といいますと」
「やはり」
「そうだ、レッドバロンだ」
復活したドイツ空軍のパイロット達が目指すべき対象はというのだ。
「彼だ、彼を目指すべきなのだ」
「あの時の閣下ではなく」
「あの英雄をですか」
「そうだ、私も目指したし彼と会えたことはだ」
まさにとだ、ゲーリングは若き日に彼と会い話をしたその時のことを思い出しつつ部下達に話した。皆ドイツ空軍の軍服を着ている。
「今でも覚えている、彼は素晴らしいパイロットであり騎士であった」
「その空の騎士の様になれ」
「閣下はそう言われますか」
「そうだ、レッドバロンの様に戦ってだ」
そうしてというのだ。
「どの様な敵が来ても倒すのだ」
「それが復活したドイツ空軍のパイロット達のすべきこと」
「そうなのですね」
「これからは」
「そうだ、私は会ったからこそ言える」
今の様なことがというのだ。
「彼の素晴らしさ、そしてその彼を目指すべきだとな」
「そうですか、では」
「その様に鍛えていきましょう」
「そして戦争になろうとも」
「どの様な敵も倒していきましょう」
「必ずな」
ゲーリングは今も空を見ていた、そこを飛ぶドイツ軍のパイロット達全てがリヒトホーフェンになるべきだと思いつつ。そうしてだった。
彼はドイツの空の支配者となってからもよくリヒトホーフェンの話をした、彼がどれだけ素晴らしかったか彼と会えて話が出来たことが自分にとってどれだけ幸せなことであったのか。その時は傲岸不遜だと言われていた彼は無邪気の子供の様に話していたという。空の勇者の話については。
空の勇者 完
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