第二章
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「一度でもな」
「彼に合いたいか」
「君はそう考えているか」
「そうだ、是非共な」
こう言うのだった、戦っているその中で。彼はその英雄と会うことを望みながら空の戦場を駆けていた。
そしてある日のことだ、遂に。
彼はその英雄と会えることになった、彼が所属している部隊の飛行場に援軍として来た時のことである。
すぐにだ、彼は飛行場にいる兵達に聞いた。
「大尉は何処におられる」
「はい、今は待機室におられます」
「そこで休憩を摂っておられます」
「何時出撃になるかわからないので」
「ですから」
「そうか、では待機室に案内してくれ」
こう言ってだ、彼は実際に飛行場のパイロット達が詰めている待機室に入った。するとそこにだった。
一八〇位の背の端整な引き締まった顔立ちの男がいた、既にパイロットの服を着ていてその服が実によく似合っている。
彼はその人物に自ら歩み寄り名乗った。
「ヘルマン=ゲーリング中尉です」
「マンフレート=フォン=リヒトホーフェン大尉だ」
相手もまた名乗った。
「君の名は聞いているよ」
「私の名をご存知ですか」
「空の騎士の一人としてな」
「有り難いお言葉です」
彼は相手に感激を押し殺して答えた。
「私のことをご存知とは」
「とはいっても湿地得るのは名前と撃墜スコアだけだがね」
相手は彼に笑って述べた。
「残念だが他のことは知らない」
「それだけで充分です、それでなのですが」
「何か」
「はい、大尉に空での戦いでの心得等をお聞きしたいのですが」
「そうか、では話させてもらおう」
「宜しくお願いします」
彼はここでも感激を押し殺した、そのうえで相手の話を聞いた。そしてそのうえで相手に言ったのだった。
「私は今日のお言葉を忘れないです」
「私が言ったことを戦場に活かすか」
「そうさせて頂きます」
「そうしてくれると何よりだ。戦局は厳しいが」
「はい、それでもです」
「我がドイツは勝つ」
「必ず」
「我々の力でな、そしてその為にはだ」
相手ははその整った騎士に相応しい顔に笑みを浮かべて話した。
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