499部分:第三十九話 あの場所へその九
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第三十九話 あの場所へその九
二人で話すことも多くなった。二人は友達になったのだ。
月美もだ。そんな二人を見て言うのであった。
「愛ちゃん、佐藤さんと最近」
「うん、そう」
その通りだとだ。椎名に対してこくりと頷いたうえで言うのだった。
「友達になった」
「そうなの。なったのね」
「とてもいい娘だから」
「愛ちゃんが言うのなら本当にそうなのね」
椎名を完全に信頼しているからこそ。だからこその言葉だった。
「佐藤さんは」
「誰にもいいところがあって悪いところがある」
椎名はまた言った。
「それはつきぴーもだし」
「佐藤さんもね」
「そういうこと。佐藤さんのいいところも一杯あるから」
「そうね。それはね」
「だから私達友達になったから」
そんな話をしてだ。それからだった。
椎名は。月美にあらためてこう話した。
「佐藤さんと一緒に色々な場所に行くから」
「そうするといいわ」
「うん、だからつきぴーも」
「私も?」
「斉宮とね。もっとね」
「有り難う。私、陽太郎君とずっと」
突き放しではなく月美が彼とより親密になることを願っていることがわかる。月美はそんな椎名の心を受けてそうして言うのだった。
「一緒にね」
「いて。そうしてね」
「うん、そうするわ」
二人の絆をそのままに。椎名は星華との友情も深めていっていた。そうしてその中でだ。
学校の屋上のベンチに二人並んで座っていてだ。星華は青空を見上げながらこう椎名に言ってきた。
「あのね」
「どうしたの?」
「私最近ね」
青空を見上げ続けながら椎名に言うのだった。
「誰かに見られてるのかも」
「ストーカー?」
「多分違うわ」
それはないというのである。
「けれどそれでもね。誰かにね」
「そうなの」
「ひょっとしてだけれど」
微笑になってだ。椎名に話す。
「私を好きな誰かかな」
「だったらどうするの?」
「その誰かが私の前に出て来たら」
その時はだというのだ。
「そうね。その時は」
「相手によるわね」
「流石に明らかにおかしい相手は駄目だけれどね」
微笑のまま話すのだった。
「けれど。そうじゃなかったら」
「いいのね」
「うん、私の前に出てくれたらよ」
あくまでその場合はといってもであった。
「そうしてくれたらね」
「わかった。それなら」
「それでいいのね」
「いいと思う」
椎名は星華の言葉に静かに応えた。
「それで」
「ええ、それじゃあね」
「あの時も言ったけれど」
港で星を見たあの時のことである。
「恋はダイア」
「何処にでもあるのね」
「何処にでもある貴重なもの」
ここはだ。貴重だとも述べたのだ。
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