STAGE1:こんばんは、僕が模犯怪盗だ
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見つけられない……考えたね」
カーテンの裏側に、不自然な布のふくらみ。それを剥がすと中から盗むと予告状を出したガラスのように透明な『移ろいの靴』が確かにあった。布に包んでから丁寧に抱え試着室から出る。
「なぜ今の一瞬で隠し場所がわかったんだ!」
警部は狼狽える。クルルクはオンバーンの羽根とハイタッチした後、応用問題を解く優等生のようにすらすらと答える。
「オンバーンの出す超音波は、何も攻撃のために使うだけじゃない。むしろ本来は音を出して、暗い夜でも障害物の位置を正確に割り出すのが目的なんだ」
「……!」
「わかったよね? そう、さっきの超音波でこの店のどこにどんな形のものがあるか、一瞬でバーツキングにはわかった。そして、不自然な場所にある靴は一個だけ。ならそこに『移ろいの靴』が隠されてるってことさ!!」
「貴様……逃がさん!」
時間はちょうど八時一分。予告時間を終わったクルルクは、怪盗として台詞を決める。
「警部の『宝をどこに隠したか?』という問題に、ただ片っ端から探して見つけるだけなら時間をかければ誰でも解ける。だけど僕は仲間のポケモンの力を借りて、華麗に効率よく回答を出す。それが怪盗クルルク、模犯怪盗だ!じゃあね警部!」
手錠を構えて捕縛しようとする警部に、トランプを一閃。真ん中から手錠を断ち切って、怪盗クルルクとその仲間のポケモンたちはブティックを出る。
再びシルクハットをたたんでスケートボードに変化させ、ライチュウの磁場で夜空へ飛ぼうとした時──ブティックの正面から、銃声がした。クルルクの足元に、レゴブロックのような四角い弾丸が突き刺さる。
「待てよ怪盗。この島で誰かを傷つけるのは、このオレが許さない」
アニメでよく聞くような、高い少年らしい声。灰色のヘッドギアに、両手両足、それと胸の部分を赤いプロテクターが覆っている。お腹の中心についている青い輝きのボールが異彩を放っている。そんな人物が右手に灰色の銃を持ち、クルルクに向ける。
クルルクは足を止め、丁寧に一礼した。
「今日は君のお出ましか。まあこの島での犯行である以上わかっていたけど……遅かったね。お宝はいつも通りいただいたよ」
「なら置いて帰れ」
「はいわかりました、なんて言うとでも?」
そんな会話をしているとグルービー警部が銃を撃った人物を見て指をさす。
「島キャプテン……メレメレライダー!来てくれたのか!」
「………………安心しな。オレが来たからには、こいつに宝は奪わせない」
返事をする前、カッコワル……と密かに呟いたのをクルルクだけは聞き逃さなかったが、余計な口出しはしない。いきなり銃を向けた物騒な人物は、アローラの島の
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