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戦闘携帯への模犯怪盗
STAGE1:こんばんは、僕が模犯怪盗だ
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店のどこかに隠した!見つけられるものなら見つけてみろ!」
「そういうことか……ライアー、テテフ、手伝ってくれ!」

 ここはブティック。当然のことながら、ところせましと洋服や靴、アクセサリが並べられている。この中から目的の靴一つ見つけるのは、かなり難しい。
 とはいえ予告時間まであと五分もない。クルルクとライアー、テテフは店内を走り回って必死に探す。
 天井の照明のそば。暑いアローラでだれが着るのか知らないファーコートのポケット。カラフルな靴の並んだ場所。折りたたまれたズボンの隙間。店員のスカートの中……(見たのはテテフであり断じてクルルクではない)試着室のカーテンを開けても見つからなかったところで、時間は予告時間の八時となってしまった。

「どうだ!さすがに部下たちも戻ってくるだろう。神妙にお縄につくか、宝をあきらめて帰るんだな!」
「……そうだね、探すのはもうやめるよ」

 あっさりと諦めるクルルク。テテフがびっくりしてクルルクに近づき、諦めないでと言わんばかりに首を振った。だが、クルルクはテテフをボールに戻してしまう。

「どうやら潔く捕まることにしたようだな……貴様の盗人生活も、今日で終わりだ!」
「それはどうかな。出てこいバーツキング!」

 グルービー警部が手錠を取り出す。だけど、それは勘違いだ。クルルクが宝を諦めるなどあり得ない。
 六つのボールの中から一つポケモンを呼び出す。蝙蝠のような羽根。スピーカーのように丸く大きな耳。そして誇り高き竜の瞳を持つポケモンを呼び出す。バーツキング、蝙蝠の王の名をつけたそのポケモンの名はオンバーン。

「闇雲に探すのはやめるってだけさ。こいつで直接、『移ろいの靴』のありかを教えてもらう」
「な、何!貴様、俺を脅す気か!」

 鋭い牙で噛みつかれればどんな人間もひとたまりもないだろう。大口を開けたオンバーンに警部は慄く。クルルクはその様をまた笑った。

「全然違う。間違いだらけだよ。僕は怪盗だ。人を脅して宝をもっていくなんて、強盗のようなことはしない。バーツキング、『超音波』だ!」
「ーーーーーー!!」

 オンバーンの口から、人間には聞こえない音波が発生する。それでも感じ取れる衝撃に警部も店員も耳をふさいだ。音波が消えたとき、オンバーンは自分の羽根で試着室を指さす。

「そこはさっき……いや、そういうことか!」

 クルルクは急いで試着室のカーテンを開ける。当然さっきと同じ、ただ正面のガラスが彼を映すだけで何もない部屋だ。そしてクルルクは、そのまま入って中からカーテンを見た。

「ば、馬鹿な!」
「僕が来るのは時間ギリギリ。試着室のカーテンの裏、鏡でも映らない高さに留めておけばじっくり探す余裕のない僕は
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