06.そうだ、刑務所に逝こう。
最終回…………
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の一本が、白髪のレンの指に絡まっている。
「あ………」突然、嬉しそうな表情を浮かべる聖月。黒と青と黄緑の糸の中に、一本しかない糸を見付ける。「赤い糸!」
「あはは……見付けられちゃったかぁ………」頭の後ろを掻きながら、苦笑を浮かべる琴葉。「黒赤のレン君、ちょっと手出して」
「ん? 何だよ」黒いレンが不思議そうに手を差し出すと、それを琴葉が取る。
「若しかして………琴葉さん!?」顔を赤く染めて、声を上げる白いレン。
「聖月さん、よーく見てみ」
琴葉に促されて、聖月が黒いレンの指を見ると、其処には一本の赤い糸が。其れを辿っていくと、直ぐに其の糸の終わりに辿り着き、そして顔を赤くさせる。
「なっ……狙ってましたね!」
「くふふふ………何のことかなぁ」
二人のレンが訳が分からないと、琴葉と聖月を見ていると、急に琴葉は白いレンの手を握る。
「会いたくなったら、何時でも此の糸を手繰り寄せて御覧。きっと、不思議なことが起きるよ」
琴葉がそう言い終わると同時に、二人の躰が眩い光に包み込まれる。あまりの眩しさに聖月と黒いレンが目を瞑ってしまう。
光が失せ、二人が目を開けた時には、既に琴葉と白いレンの姿は何処にも無かった。
二つの世界が交わり、別々の世界に住む住人が交わる。
それは普通有り得ないことだったが、彼女達にはきっと「有り得ない」なんて存在しない。
それが、糸の力なのだから。
◇ ◆ ◇
「あの、フランさん?」
「何だい?」
「如何為て私は貴方の膝の上に居るのです? そして撫でられているのです?」
「いーじゃないかー。丁度一ヶ月前、君のお願いで向こうに行かせてあげたんだし」
「まぁそうですけど」
朝からベタベタと琴葉に張り付くフラン。相変わらず、此の態度は変わらない。
別世界に行って、軍と戦ったあの三日間から、もう一ヶ月が経った。
琴葉達の世界は、何事も無かったように廻っていた。
「……何か、可愛くなったよねぇ」
「…………如何言うことですか」
「自分の気持ちに素直になったのかは知らないけど、私を拒まなくなったよね」
「嗚呼、それですか」
琴葉は静かに自分の手を見る。糸を見ることが出来る能力を意識しながら一度瞬きすると、其処に何百もの糸が現れる。次は赤い糸を意識しながら、もう一度瞬きすると、糸が一本に減る。赤い糸の一本に。
ゆっくりとその先を辿っていくと―――
「どーしたの? 琴葉」
「え? 何も無いですよ? というか、もう呼び捨てデスカ」
「琴葉って、『運命の赤い糸』って信じてる?」
―――嗚呼、また唐突に痛いところを突いてくる。
琴葉はゆっくりとフランの頬に手を添
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