アインクラッド編
15.クリスマス・イヴ
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がばれたらしい。
「あぁ・・・すこし、な」
今日はおそらく、限定のイベントボスがどこかに現れる。キリトはもちろん、青竜連合や他のギルドも血眼になって探していた。おそらく見つけるのはキリトだ。キリトは攻略組の中でも抜きんでた実力を持っているし、クラインが彼奴を追うと言っていたから、まさか本当に戦闘で死んでしまうことはないだろうとは思っている。しかし、本番で何が起こるかはわからない。
「大丈夫だよ、きっと」
「・・・だな」
気分を切り替えるように飲み物をぐっとあおる。手を出さないといったのだ。ここで心配をしていても仕方がない。
食事を終え、のんびりとお茶を飲んでいたミーシャが、ふと口を開いた。
――――走れソリよ、風のように
それは、歌だった。誰もが一度は聞いたことがある、クリスマスに於いては定番の歌。
シルストがアンと顔を見合わせ、にんまりと笑う。
――――雪の中を、軽く早く。笑い声を雪に撒けば、明るい光の花になるよ
シルストはミーシャよりも少し高く、アンは少し低く。3人の音が重なり、綺麗な響きを作り出す。
ナツがタクミを急かすように見た。タクミはため息をついたが、すぐ口を開いた。タクミは低く、ナツは高めに声を出す。
――――ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る。鈴のリズムに、光が舞う。
5人の歌は全くずれることもなく、不協和音を奏でることも無い。
――――ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る。森に、林に響きながら。
綺麗な和音を保ったまま、1番を歌い終えた。
歌い終わると、ミーシャはにっこり笑った。
「皆けっこう覚えてるねぇ。練習したのは去年のことなのに」
「とっても綺麗だったわ。5人は確か、同じコーラス部だったのよね?」
だから夜桜唱団だったのか、と俺は納得した。
「クリスティナは違うのか」
「えぇ。私とリヒティはこっちに来てからみんなと知り合ったの。当時は二人で行動してたんだけど、さすがに心もとなくてね。ミーシャに頼んでギルドに入れてもらったの」
「結果的には正解だったぜ。狩りも安定したし、ナツの美味い飯も食えるしな」
その判断は妥当だというべきだろう。この世界では共に行動する人数が多ければ多いほど生き残る確率も上がる。ミーシャに誘われるまでソロだった俺が言えたことではないが。
「私たちがコーラス部っていうのもあって、あなたの名前に親近感があったんだよね。アルトって、低音パートの名前だから。なんでそういう名前にしたのか聞いてもいい?」
アンがどこか恥ずかしそうに言った。
「俺が決めたんじゃないんだ。姉が勝手に・・・。あぁ、そういえば俺の姉も合唱部だった」
「そうなんだ」
「アンは、アルトパートなのか」
「うん。ソプラノに比べると地味って言われるんだけどね、私はハモるところが多いし、コーラスし
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