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空に星が輝く様に
496部分:第三十九話 あの場所へその六
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第三十九話 あの場所へその六

「だから。二度としなかったらそれでいいから」
「あんたのお友達に酷いことしてきたこともなの」
「そう、それでいい」
 椎名は星華に答え続ける。
「つきぴーもいいっていうし私も」
「あんたもなのね」
「二度としなかったら。それでいいから」
 それで済ませるのだった。椎名は決して執念深い人間ではない。だからこそだ。今の、現在の星華にはこう話せるのだった。
 そしてそのうえでだ。前を向きながらだ。
「着いたから」
 そこは港だった。周囲の暗闇の中に立ち並ぶ倉庫が見える。そしてコンクリートの向こうから波音と。船の灯りが聞こえて見えていた。
 それを耳と目にしてだ。星華も言った。
「ここね」
「そう、ここ」
 まさにここだというのである。
「ここがその場所」
「本当に港ね」
「そう。ここがお星様が一番奇麗に見えるところ」
「静かね」
 星華は周囲を見回した。誰もいない。あるのは倉庫とコンクリート、そして暗闇だけである。他にあるのは静寂だけだった。
 そこに着いてだ。椎名はさらに言ってきた。
「ここのね」
「ここの?」
「前に行こう」
 今度はこう星華に言うのである。
「そこで」
「お星様見るのね」
「うん、そうする」
「わかったわ。それじゃあね」
「行こう」
 こうしてだった。二人は前に出た。そこは港の端だった。コンクリートのすぐ下から波音が聞こえる。それを聞きながらだ。椎名が言ってきた。
「ここだから」
「確かに奇麗ね」
 星華はもう上を見上げていた。そのうえでの言葉だ。
 彼女の上には幾千幾万の星達が瞬いていた。白い星もあれば青い星もある。赤い星もだ。無数の星達が彼女の上で輝いていた。
 椎名もその星達を見ていた。そうしてここでもだった。星華に問うてきたのだ。
「どうかな」
「ええ、こんな奇麗な夜空見たことないわ」
 こう答える星華だった。
「今まで見た夜空の中で一番よ」
「気に入ってくれたのね」
「ええ」
 笑顔で椎名の問いに答える。
「とてもね」
「そう。それはよかったわ」
「星座は。どれかしら」
 星華がそれを見ようとするとだ。ここでだった。
 椎名はだ。穏やかな声で星華にこう言ってきた。
「それはいいから」
「いいって?」
「今は星座はいいから」
 こう言うのである。
「それよりもね」
「星座を見なくて何を見るのよ」
「お星様自体を」
 それをだというのである。
「それを見ればいいから」
「星座とかそういうのは気にしないで」
「そう、全然気にしなくていいから」
 椎名はこう言うのだった。
「全然ね」
「お星様だけを見れば」
「星座は確かに奇麗だけれど」
 それでもだというのだ。椎名はその星達を
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