第二章
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「そういう訳でね」
「あんた一人でなの」
「そう、旅をしているのよ」
「そんなことがあったのね」
「そうなのよ、私はね」
遠い、悲しい目をしてだった。セシルは自分と同じものを食っている少女に対してこう言ったのだった。
「自分の国を滅ぼしたね」
「悪人だっていうのね」
「そうよ、これ以上はないまでにね」
「そうれはね」
「それは?」
「今国はずっと氷漬けよね」
「ええ、それで生き残った人達はいるけれど」
残った国民、彼等がというのだ。
「私に怒っているのよ」
「それでなのね」
「私は国から逃げたのよ。今も国はね」
「氷漬けになっていて」
「その中にあるわ」
「じゃあ氷が溶けたら」
そうなった時のことをだ、少女はセシルに話した。
「その時は皆助かるわね」
「多分ね。けれどね」
遠い悲しい目のままでだ、セシルは少女に返した。
「そんなの無理よ」
「あんたの氷の魔導書の力だから」
「とんでもなく強い力だから」
それ故にというのだ。
「だからね」
「氷を溶かせないっていうのね」
「そう、絶対にね」
「絶対はこの世にはないわよ」
笑みになってだ、少女はセシルに返した。
「それはね、だからね」
「それでっていうの」
「あんたの氷の魔法も炎の魔法には弱いでしょ」
「ええ、氷と炎は相反するものでしょ」
魔法でもそうなっている、その為セシルはイフリートやサラマンダーといったモンスターは嫌いで彼等との戦闘も自分の魔法が炎属性の彼等には抜群の効果があっても自分が攻撃を受けても同じなのでしたくないと思っている。
「だからね」
「炎の魔法だとね」
「多分その氷も溶けるわ」
「そうね、あとあれね」
ここでだ、少女はセシルに笑ってこうも言った。
「お水にも溶けるわね」
「ああ、氷水ね」
「氷はお水の中では溶けていくわね」
「お水の方が温かいから」
その温度が高いからとだ、セシルもこのことは知っている。夏によく氷を出して水の中に入れて冷やして飲んでいるからだ。
「だからね」
「そうなるわね」
「あんたひょっとして」
「私水魔法大の得意だから」
「無理よ。国全体を覆っているのよ」
自分が出してしまった氷はとだ、セシルは話した。
「だからね」
「ちょっとやそっとのお水だと」
「溶けないわよ」
「それで、っていうのね」
「それこそ温泉にでも覆われないと」
そこまでならないと、というのだ。
「溶けないわ」
「温泉ね。わかったわ」
「わかった?」
「あんたの国をどうすれば救えるのか」
「あのね、魔法の氷で国全体が覆われているのに」
豚肉によく似ているがより硬く匂いもきつい猪の肉を食いつつだ、セシルは少女に対してどうかという目で答えた。
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