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空に星が輝く様に
494部分:第三十九話 あの場所へその四

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第三十九話 あの場所へその四

「そうする」
「一撃でなのね」
「だから安心したらいいから」
「じゃあ私もそうするから」
 星華は自分もだというのだった。
「いざって時はね」
「そうするの」
「脳天とかならわかるから」
 オーバーの右のポケットに手を入れて言う。そこに警棒があるのだ。
「これで殴ったら。一発よね」
「肩もいい」
「肩もなのね」
「肩を砕けば動けなくなる」
 椎名は実に物騒な話をさらに続ける。
「それも手」
「あんた詳しいわね、そういうの」
「殺人拳でもあるから」
「人を殺す、ね」
「悪い奴にはそれ」
 やはりこう言う椎名だった。
「ただし」
「ただし?」
「普段は活人拳」
 そちらだというのだ。人を活かす方だというのだ。
「そっちだから」
「使い分けてるのね」
「そういうこと。まあとにかく」
「どんなのが来ても安心していいのね」
「その通り。夜でも」
「わかったわ。それじゃあね」
 椎名のその言葉を受けて笑顔で応える星華だった。
「そこ、今からね」
「行こう」
 こんな話をしながらだった。二人は電車でその場所に向かう。星華は椎名が言った駅を彼女と共に降りだ。そのうえでそれからは夜道を歩くのだった。
 その中でだ。星華は自分の横にいる椎名に問うた。夜の住宅街を歩きながらだ。
「それでこれから行く場所って何処?」
「そこのことね」
「ええ。もうすぐよね」
「そう。少し歩いたら着く」
 こう答える椎名だった。
「もう少し」
「こっからもう少し先に行ったら」
 星華は前を見た。そこにあったのは。
「海だけれど?」
「そう、海」
 椎名はそこだと言った。
「海の方に行くから」
「そうだったの」
「行く場所は港」
 具体的にそこが何処かも星華に話してきた。
「そこに行くから」
「そこでお星様見るのね」
「そう。私の一番のお勧めスポット」
「そうだったの」
「そこに行くから」
 また星華に話す。
「嫌だったら他の場所に」
「嫌なんて言ってないから」
 それはすぐに否定した星華だった。
「それはね」
「そう。それだったら」
「じゃあ港、行こう」
 星華は明るく笑って椎名に述べた。
「そこにね」
「うん、いいのなら」
「嫌だったらはっきり嫌だって言うわ」
 そこははっきりとしている星華だった。

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