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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
最終章 蛇王再殺
第四十話(最終話) 狩猟大祭
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俺たちがデマヴァント山に赴いてから、王都エクバターナに帰り着くまで、往復で十日間を要した。その間にエクバターナの情勢は激変していた。
…などということは勿論なかった。宰相ルーシャンは国王アルスラーンの留守中を大過なく治め、奴隷制度廃止に批判的だった旧勢力にもつけ入る隙をまるで与えなかった。原作でのルーシャンにはアルスラーンの顔を見ると結婚結婚と口にする悪癖があったが、この世界ではそれもなくなることだろう。むしろ、側室選びに頭を痛めることになるかもしれない。
俺たちが王都エクバターナの城門を潜ると、待っていたのは市民たちの万雷の拍手と歓声だった。王都の市民には数千樽のぶどう酒が振る舞われ、広場には数多の松明が灯され、笛や琵琶が陽気な音楽を奏で、歌や踊りが披露された。その全てを宰相ルーシャンが手配したらしい。通常業務だけでも多忙であったろうに、そこまでの手配をもこなすとは、想像以上の辣腕ぶりと言うべきであった。こんな人材を埋もれさせておくなんて、アンドラゴラスも馬鹿なことをしたものだ。
市民たちと酒を酌み交わしていると、頻りにありがとうありがとう、よくやってくれました、と声を掛けられた。また、市民たちの話を聞くともなしに聞いてると、カイ・ホスローは英雄王とも呼ばれるけど、ではアルスラーン陛下はどう呼ぶべきだろうかという話になっていた。
よし、お主の出番だぞ、ギーヴ!と思っていたが、頻りに横に座った女性に話しかけてるだけで、解放王の三文字を彼が口に出しそうな気配はない。周りからは、「自由王!」、「いや、公正王!」、「快賊王なんて駄目だろうか…」などの意見も出てるがどうにも、解放王という意見が出そうにない。何故だかそれを敢えて避けてでもいるかのように。だから、業を煮やした俺はとうとう言っちまったんだよ。「解放王なんてどうだ?」と。
そしたら、何かやたらと拍手喝采されたんだよな。やめろ、やめてくれ、原作をパクっただけなんだ。そんなキラキラした目で皆俺を見るな!そう思いながら、周りを見回すと、宴もたけなわな中、知った顔が二人きりで何処かへしけこむ姿をチラホラと見かけた。…あれはギーヴとフィトナか。まあ、ギーヴは美女好きだからな。カルナもファランギースも所帯持ちだし、フリーな美女なんてフィトナぐらいしかいなかったもんなあ。原作ではギーヴがフィトナを殺したような記憶があったが、まあ、フィトナは原作ではナバタイ国を経て、ミスル王国に現れるなど、ありえないぐらいの流転ぶりだったからな。それがないならばこういう縁の出来方もおかしくはないかもな。
意外なところではグルガーンとレイラってカップルがいつの間にか成立していた。グルガーンは暗灰色の衣の魔道士の一人として、魔道を修めた訳だが、その知識の中には薬学や錬金術的な部分もあったらしく、医者であるレ
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