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レーヴァティン
第六十八話 女枢機卿その三
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「神と共に」
「そうなんだな」
「何かと政治的なそれが」
 陰謀が渦巻いているというのだ。
「そうしたものです」
「そうか。それで枢機卿ともなるとか」
「それとは無縁ではいられないでしょう」
「むしろその中心にいるか」
「かつて高位の聖職者は優れた政治家でもありました」
 これはいい面でも悪い面でもだ、枢機卿とは神に仕えるだけでなく多くの国そして教会で政治家でもあったのだ。
「リシュリュー然り」
「ああ、リシュリューな」
「三銃士にも出てきますね」
「敵役でね」
「あの作品では序盤の敵役ですが」
「実際は優れた政治家だったんだよな」
「フランスの為に尽くした」
 国内をまとめ対外戦争でも勝った、フランスの地位を飛躍的に上げもしたのだ。
「そうした人でした」
「そうだったな」
「はい、それで政治の世界にもです」
「陰謀が渦巻くその中にいるか」
「それも中心に」
「一体どんな奴なんだ」
 久志はその十人目がどんな人間かわからなくなってきた、それで首を傾げさせてそのうえで言うのあった。
「とんでもない奴じゃないだろうな」
「腹黒くて陰険で残酷でか」
「そんな奴じゃないだろうな」
 正にこう言ったのだった。
「冗談抜きで」
「そういえばリシュリューも立派な政治家でもな」
「陰謀も使ってたよな」
「政敵は物凄く多かっただろうしな」
 それで常に毒殺を警戒していた、猫を多く飼っていて食事を共にしていたがこの猫達は実は毒見役であった。
「自分もな」
「陰謀使ってたか」
「そうだろうな、三銃士見てたらな」
「陰謀家って感じだな」
「そんなのだからな」
 それでというのだ。
「やっぱりこうした教会の世界ってのはな」
「陰謀もか」
「渦巻いていてな」
 それでというのだ。
「善と悪が一緒にあるものなんだよ」
「神様と悪魔か」
「天使と悪魔でも同じだな」
 その指し示す意味はだ。
「それでそれはな」
「人間がいたら何処でもか」
「ああ、腐った場所にも天使はいるしな」
「聖なる場所にも悪魔はいるか」
「そんなものだろ。人間が完全に清らかでも完全に醜くくもないからな」
 そのどちらも併せ持っているというのだ、人間は美醜というものが存在していてどちらにも完全に入るものではないのだ。もっとも黄金の精神の持ち主がいれば吐き気を催す邪悪と言うべき輩もいるのが人間だが。
「それじゃあな」
「人間としてか」
「完全な悪もないってな」
「そういうものなんだな」
「ああ、教会にしろこれから会う枢機卿さんにしてもな」
「善悪が一緒にあるか」
「そうしたものだって考えればいいだろ」
 そうしたものだとだ、正は人間の善悪そして美醜について久志以上にドライだった。だがマグダラのマリアを描
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