第三章
[8]前話
「キョンシーならです」
「うむ、餅米とかが効くな」
「その筈ですし赤髪で碧眼と聞いて」
それでというのだ。
「若しやと思ったのです」
「そうだったのか」
「心臓が二つあり大蒜と鎌が苦手で」
「だからその二つを用意してきたのか」
「はい、そのうえで退治しました」
「ううむ、そうだったか」
「そして心臓が二つあるので」
「二回鎌で胸を突き刺したか」
「そうしました」
「成程のう、しかし」
ここまで話を聞いてだ、老人はロストに首を傾げさせて尋ねた。
「東欧の吸血鬼が日本、そして中華街におるとは」
「日本も今では世界中から人が来ています」
「それで東欧からもか」
「人が来ています、そして」
「そしてか」
「東欧、ルーマニアからも」
「人が来ておってか」
「人が来ていてです」
そしてというのだ。
「人が来ているならです」
「妖怪、吸血鬼もか」
「来ているのです」
「それでか。しかし何故じゃ」
ストリゴイイが来るのはわかった、だが。
それ以上にだ、老人はまだわからないことがあった。それはというと。
「キョンシーの恰好をしておったのじゃ」
「それはです」
「どうしてかわかるのか」
「化けていたのでしょう」
ロストは老人に自分の見立てを話した。
「キョンシーに。キョンシーに化けていますと」
「皆キョンシーの退治の仕方をしようとするな」
「そうします、その辺りは知恵を使ったのでしょう」
「吸血鬼にもそんな知恵があるか」
「人間ですから。元は」
「だからか」
「はい、人間並に知恵も使います」
吸血鬼、ストリゴイイの方もというのだ。
「そして悪知恵もです」
「使うか」
「そういうことでしょう」
「成程のう。しかしよく退治してくれた」
老人は彼へ礼儀も述べた。
「報酬は沢山振り込んでおくな」
「では」
「そしてここに寄れば」
中華街にというのだ。
「思いきり美味いものを食わせてやるぞ」
「そうしてくれますか」
「明日にでも来るといい」
「そうさせてもらいます」
ロストは微笑んで応えた、そうしてだった。
今は夜の中華街を後にした、普段は赤く賢覧ですらあるこの街は今は夜の闇に包まれ静香だった。その中今は仕事を終えて休息に入る為に家に帰るのだった。
キョンシーの正体 完
2018・8・28
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ