第五次イゼルローン要塞攻防戦7
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
も、作戦会議が始まるまでしばらくの休息が与えられた。
ワイドボーンなどは、即座にスレイヤー艦隊に連絡を入れようとして、ヤンに止められる。
せめて帰るまで、我慢してくれと。
憤然たる様子であったが、さすがに激戦を潜り抜けて帰還したアレス・マクワイルドに対して即座に説教をするというのは気がとがめたのか、あるいはアロンソやパトリチェフの援護のおかげか、戻ってからにするとの言質を得ることができた。
これで一緒に怒られてやるという約束は、果たしたよな、一応。
何よりも前借で怒られているわけであるし、これ以上は任せたとヤンは思う。
総旗艦で立っていただけであったとはいえ、ヤン自身も疲れなかったわけではない。
戦闘の間は一切休憩がなかったわけであるし、何よりも後半の救出のタイミングを一手に引き受けた形だ。
給料分は十分働いたのではないだろうかと思う。
それ以上はもっと高給をとっている人間のやる仕事だ。
「ヤン少佐」
あくびを噛み殺しながら、タンクベッドが配置されている部屋に向かう途中で、背後から声がかけられた。
クエリオ・アロンソ中佐だった。
近づいてくる人影に、ヤンは敬礼で答えた。
初めて出会うことになった真面目な上官は、いつかのムライ中佐を思い出す。
最も感情が、それよりも感情の希薄に欠ける様子は、ムライ以上に苦手意識を持っていた。
敬礼を返しながら、アロンソがヤンの前に立った。
何もしていないのに怒られるような気がするのは、自分の性格のためであろうか。
「呼び止めてすまない。言っておきたいことがある」
「何でしょうか」
「マクワイルド大尉の救出作戦についてだ」
ヤンは小さく息を飲んだ。
だが、アレスの上官であったことを思い出し、悪戯がばれた子供の様に、困ったように頭をかいた。
「ご存知でしたか」
呟いた言葉に続く言葉はない。
アレス・マクワイルドからもらったデータメモリは二つ。
一つは、先ほどの作戦で見せた無人艦による牽制だ。
逃げる少数の艦隊よりも、向かい来る艦隊の方を優先するであろうという作戦は、結果としてアレスたちを救うことになった。無人艦による自爆も、想定通りに敵の駐留艦隊に混乱を与え、逃走としてはほぼ満足をいくものとなったであろう。
そして、あの時には公開しなかったが、もう一つの作戦があった。
それは、救出とは真逆の作戦。
無人艦の突入後に全艦隊で再び突入をかけるというものだ。
その場合にはスレイヤー艦隊が、イゼルローン要塞の直近で敵に対して激しい攻撃を加える手はずとなっていた。そうなれば、敵は傍から攻撃を加えるスレイヤーの艦隊に主砲を向けるか、あるいはたとえ同盟軍本体に攻撃があったとしても、次の攻撃が来る前には要塞
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ