第五次イゼルローン要塞攻防戦7
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して命令を下すことになったのだ。例えば逆の立場であっても、私は感謝することはあっても、怒ることなどない」
「ですが」
「うるさい。それ以上は言うな、さっさとヴァルテンベルクに伝えろ」
話は終わりだと手を振られれば、帝国軍の人間もそれ以上は言葉にすることはない。
「トールハンマーは、あのこざかしい蝿を始末する」
「は、はっ。エネルギー再充電を完了しました、目標――敵分艦隊」
端末を激しく叩く音がした。
イゼルローン要塞に走っていた光が、集中したのは要塞脇を走る自由惑星同盟の艦隊だ。
いかに加速しようと、それはあくまでも艦隊の動きだ。
モニターに映るは、トールハンマーから逃れようと、イゼルローン要塞に沿って走る敵の艦影。
間隙を突かれたのならばともかくとして、狙われれば、神の雷からは逃げる方法はない。
クライストは、満足げに背もたれに体重を預けた。
「砲撃準備完了しました」
「よし――」
「閣下!」
言葉の途中で邪魔をされ、クライストは苦い顔を浮かべた。
邪魔をした索敵士官を睨めば、別モニターに敵本体が映し出された。
「反乱軍が、艦隊をこちらに向けてきます」
「愚かどもが」
唸るようにクライストは声を出した。
モニターには敵の艦隊から数千隻ほどの艦艇がイゼルローンに向けて、進軍する様子が映っていた。
「駐留艦隊はどうしている」
「いまだ陣形を整えている模様」
クライストの表情に浮かんだのは、迷いだ。
即ち、どちらを狙うべきかと。
もう少し敵が遅ければ、駐留艦隊の準備が整い、敵本体は駐留艦隊に任せて、分艦隊を始末できただろう。だが、敵もさるものですぐに行動を開始してきている。
最もトールハンマーを警戒してか、その数は二千隻余りであり、明らかに少ない。
どちらを残したところで、イゼルローン要塞を攻略することは不可能だが。
「閣下。このままでは駐留艦隊に被害が出ることに」
背後から、副官であるバッハから慎重ながらも発言があった。
「要塞の攻略は無理でも駐留艦隊に攻撃を加えられたら、損害は増えるか」
「ええ」
「ま、貸しを作るのも悪くはない」
かかと笑う様子に、誰もが驚いたようにクライストを見た。
だが、本人自身は上機嫌であり、若干の非難を込めた視線を向ける砲術士官に声をかける。
「目標を変更せよ。狙いはこちらに向かう艦隊だ」
「りょ、了解しました。目標変更します」
背後を走る分艦隊へと集約していた光が消え、再度現れたのは要塞前方だ。
強い輝きをもった光の渦は、照準の変更によって遅れは生じたものの、迎撃には十分すぎる距離がある。
「敵艦隊を迎撃せよ!」
光の渦が、向かい来る艦隊に対して吠え――直後、同盟軍艦隊が爆
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