十五 始まりの傀儡
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──三代目風影。
かつて歴代最強と謳われた彼は、突如、砂隠れの里から姿を消した。
里の者達は八方手を尽くして必死に捜索したが、とうとう見つからず。
しかしながら、あれほど強い風影が死ぬはずはないと、砂忍の暗部には秘かに調査を続けさせていた。
その風影がまさか、サソリの手に墜ち、人傀儡として再会するとは。
サソリの祖母であるチヨは、思いも寄らなかった。
「どうだ?懐かしい顔だろう?」
「サソリ…お前が、」
風影を殺して己のコレクションに加えた実の孫を、チヨは憤怒の形相で睨み据える。
「なんだ、その顔は?隠居した婆が三代目の敵討ちでもするってのか?」
祖母の険しい表情を見やり、サソリはハッ、と鼻で嗤った。
「──ご苦労なこった」
整った顔立ちに浮かべる冷笑。
なまじ顔が綺麗なだけ、サソリの冷ややかな笑みに、いのは背筋を凍らせる。
顔を引き攣らせる彼女の隣で、久方ぶりの三代目風影を目の当たりにして驚きつつも、チヨは平然たる表情で口を開いた。
「隠居の身でもわざわざ重い腰を上げてみるもんじゃわい。新たな事実の発覚がこのような形で得られようとは思いも寄らなんだ。我が孫が悪党に身を堕とすだけならまだしも、里を裏切り、三度までも風影に手をかけようとは…」
一度は三代目風影。
二度は四代目風影。
そして、五代目風影である我愛羅。
我愛羅の父──四代目風影を殺したのは大蛇丸だが、それを手引きしたのはサソリだと語るチヨ。
その話に、サソリは不服げに「おいおい」と片眉を吊り上げた。
「四代目ってのは俺は知らねぇぜ?手引きは俺の部下がやったものだ」
「ならばお前がやったも同然じゃろう。部下の監督不行き届きは、サソリ…お前に責任がある」
「勝手に濡れ衣を着せるんじゃねぇよ。俺は自分の尻拭いも出来ねぇようなヤツは部下になんざしねぇ。大体、今のアイツは大蛇丸の部下だ。ってことは大蛇丸が責任取るのが筋ってもんだろーが」
ハッ、と吐き捨てたサソリに、チヨはなにか言いたげに口を開いたが、結局言葉を発さずに噤んだ。もはやかける言葉も見つからないのか、黙り込んだチヨを流し目で見遣ってから、サソリはふ、と口許に笑みを湛える。
「まぁ俺の部下が手引きしたと調べたところまでは褒めてやる。確か──『木ノ葉崩し』だったか?大蛇丸の野郎も、なかなかやるな」
その発言に、いのがピクリと反応する。
木ノ葉の里に多大な被害を与えた、木ノ葉の忍びにとっては悲劇に他ならない事件。
それを愉快げに語るサソリを、いのは激しく睨み据えた。
「…アンタは絶対捕まえて、大
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