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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十五 始まりの傀儡
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髪の人形が顔を上げる。その美しい面差しは、サソリの整った顔立ちによく似ていた。



「──『母』じゃ」









待ちわびていた存在を前にしながらも、興味のない風情を装う。
無関心な態度をわざと取るサソリに対し、チヨはむしろ彼が憶えている事に、驚愕の表情を浮かべた。




「俺の作った傀儡で、俺の傀儡と殺しあおうってか?くだらねぇ」


吐き捨てる言葉とは裏腹に、かつて己が拙いながら必死で作り上げた人形を、サソリは静かに見つめる。
















その瞳には、人知れず、懐古の色が確かに宿っていた。

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