十五 始まりの傀儡
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わと身体の自由を奪い、やがて死に至らせる猛毒。すぐに身体が痺れて動けなくなり、僅か三日の命という瀕死状態になる。
たとえ、掠り傷ひとつでも、毒を染み込ませたワイヤーの攻撃を肩に受けたのなら、いのはもう戦闘員ではない。
動けないまま、傀儡師同士の戦闘を見るくらいしか出来やしない。
毒の強さをよく知っているサソリは、もはやいのなど眼中に無かったが、やがて、苦しげに呻きながらも必死な声が耳に入ってきて、顔を顰めた。
「……さっきも…言ったけど…っ!」
毒が廻ってきているのか、足が痺れる。けれどもなんとか立ち上がろうとするいのは、霞む視界の向こうにいるサソリを睨み据えた。
「お、…大蛇丸のことで、き、きかなきゃいけないことが山ほどある…!だから、アンタは…絶対…っ、」
かつて、『暁』でパートナーだった大蛇丸のことを話したサソリは、うんざりとした表情でいのをチラッと見やった。
そのまま続けて啖呵を切ろうとする彼女を無視し、指をくいっと動かす。
三代目風影の腕に仕込まれていた数十本のクナイ。
それらが一斉に、いのに向かって投擲される。
迫り来る刃物に、いのは咄嗟に反応できなかった。
否、もはや身体が毒で、指一本、動くことすらままならなかった。
ギュッと眼を瞑る彼女の耳元で、刃物が風を切る音が響いた。
「女が喋ってる時は、男は静かに聞いてやるもんじゃ。わしはそう、お前に教えたはずじゃったがのう」
「ふん…そんな遠い昔のこと、とっくに忘れちまったよ」
二つの巻物を手にするチヨ。自分を庇った二体の人形の背中を、いのは見上げた。
チヨの巻物から出現し、そしてチャクラ糸の繋がれているその二体は傀儡には変わりないはずなのに、どこか懐かしい感じがした。
そう──木ノ葉の里にいるであろう、自分の父と母。
両親を思い浮かべるような背中だと、眼を瞬かせるいのを、チヨは下がらせる。
二体の傀儡人形を眼にして、サソリは「ああ…」と気のない声をあげた。
「それか…」
「憶えておったか…」
「一応、作った人形には思い入れがあるんでね」
軽く肩を竦めるサソリ。
はぐらかすようなその物言いに、彼の心の内を見定めようと、チヨは瞳を細めた。
「そうじゃ…」
項垂れる二体の傀儡を通して、実の孫の真意を探る。
「お前が作った最初の傀儡──」
項垂れていた赤い髪の人形が顔を上げる。その髪の色は、サソリの髪とよく似ていた。
「『父』と──」
項垂れていた長い
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