489部分:第三十八話 明るい運命その十
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第三十八話 明るい運命その十
「自分の身は自分でだからな」
「そこは気をつけなさいね」
「うん、それはね」
星華もそのことには納得した顔で頷いて返した。
「わかってるわ」
「一応スタンガン持っていけ」
「警棒もね」
「何か物騒ね」
星子は両親のそうした言葉に突っ込みを入れた。突っ込みを入れながらおかずのコロッケにソースをかける。おかずは他には人参とこやしとピーマンの炒めものに椎茸とエリンギの味噌汁である。そんな献立である。
「スタンガンに警棒って」
「用心には用心だ」
「危ない奴が多いからよ」
「ううん、けれどそうしたのを持つって」
「馬鹿を言え」
父親は厳しい顔で星子に話してきた。
「何度も言うがな」
「自分の身はってことね」
「そういうことだ」
まさにそうだというのであった。
「御前もだぞ。そうした時はな」
「両方共持たせるからね」
「警棒なんかで殴ったら」
どうなるか。星子もよくわかっていた。
「頭とかだったら下手したら死なない?」
「そんなことする奴は死んで当然だ」
「そうよ。正当防衛になるからいいのよ」
そうしたことはこれだけで済ませる両親だった。
「だから気にするな」
「いいわね」
「そういうものなの」
強気な星華もだ。今の両親の言葉には首を傾げさせた。
「そこまでしてもいいのね」
「一向にな」
「警察も納得してくれるからね」
「そうかしら」
警察もいいと言われてもだ。星華はまだ信じられなかった。
「けれどまあ」
それでもだった。彼女はここで話を元に戻して言う。
「お星様はね」
「それは行くのね」
「うん、もう決まったから」
こう星子に答える。
「行くわ」
「気をつけてね」
「有り難う。それに夜だし」
星華はその夜のことも考えてだ。また言った。
「だからあったかい格好をしてね」
「そうそう、それだ」
「それも気をつけてね」
両親もそのことを話す。
「風邪をひかんようにな」
「あったかい服着て行きなさいよ」
「わかってるわ。それじゃあね」
星華も頷く。そうしてであった。
彼女はその星を見に行くのだった。椎名と共に。そしてそこでだ。これまで見たことのない、素晴しいものを見ることになるのだった。
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