提督、里帰りする。その3
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気を取り直して一路、俺の実家を目指す。
「そういえば、パパは何を買いに行ってたの?」
「あぁ、これか?爺ちゃんの墓に供える物を買いに行ってた」
「ふぅん?」
不思議そうに首を傾げる山風の頭を、クシャクシャと撫でてやる。暫く歩いていくと、少し草臥れたような見た目の二階建ての家が見えてきた。
「さ、着いたぞ。ここが俺の実家だ」
「な、何て言うか……」
「予想に反してボロっちいですねぇ」
はっきり言うなぁ、青葉の奴め。
「仕方ねぇだろ?昔からよく言うんだ、『大工の家には戸板も立たない』ってな」
大工は他人の家を建てたり直したりはしても、自分の家は後回しにするからボロいんだ……って言ってたのも爺ちゃんだったか。少し古ぼけたような引き戸をガラガラと開けて、声を掛ける。
「うぉ〜い、帰ったぜ!」
「零二かい?帰って来るなら連絡寄越せって……言って………」
台所からパタパタとお袋が出てくる。が、俺の面を見るなり固まりやがった。若干アワアワしてるようにも見える。
「ん?どうした、零二の奴が帰って来たんじゃ……」
茶の間から顔を覗かせたのは親父だ。俺の顔を見てギョッとして、こっちも固まる。昼間っからビールを飲んでたのか、グラスからビールがコースアウトしてダバダバ畳に零れてるんだが。
「親父もお袋もなに固まってんだよ、そんなに懐かしの倅の顔が嬉しいか?ん?」
「あ……アンタどっからそんなに別嬪ばっかり拐って来たんだいっ!」
「はああああぁぁぁぁ!?何だそりゃ!」
「いつかはやると思ってたが……おい!早く警察に連絡しろ!」
「ふざけんなこの糞親どもおおおぉぉぉぉぉ!」
危うく実の親に誘拐犯にされかけた。解せぬ。
ギャアギャア喚き散らす親父とお袋を黙らせ、茶の間に上がって向かい合わせに座る。
「痛ったぁ……」
「親を殴るとか、教育した奴の顔が見たいわ」
「お前らだろうがこのポンコツ夫婦」
あんまり騒ぐので、黙らせるのに軽く小突いただけだ。……ホントだぞ?
「あ〜……まぁ、さっきの騒がしいので薄々察してるとは思うが、この2人が俺の親父とお袋だ。お袋は専業主婦だし、親父は……大工はもう引退したんだったか?」
「まだ稼いどるわ、バカタレ」
これだよ。仮にも海軍の大将にバカタレ呼ばわりだぜ?もう少し敬意ってモンがよ……。
「提督のお義父様とお義母様ですね。初めまして、私提督……いえ、こちらの零二さんと結婚させて頂きました『艦娘』の金剛と申します」
淀みなくそう言って、正座したまま深々と頭を下げる金剛。その所作にはいつもの似非外国人キャラなんてものは微塵も感じず、寧
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