暁 〜小説投稿サイト〜
結城友奈は勇者である ー勇者部の章ー
古今無双の大和撫子
[1/3]

[8]前話 [1] 最後
「赤、東郷美森」
「はい」
「白、弥勒夕海子」
「はい!」
「礼、前へ」
私、東郷美森は先鋒。面越しに見える相手の顔には見覚えがない。明るい色、山吹色の髪をした、自信に満ちた顔をした少女だ。
互いに蹲踞(そんきょ)し、一定の間合いをとる。
「始め!」
素早く立ち上がる。
「やああああ!!!」
相手は真っ先に上段から面を放つ。
竹刀を切っ先が斜め左上に向くように持ち、防御する。
かぁあああん!
「っ…!」
(思っていたより、ずっと重い…!)


「大丈夫かな…東郷さん」
友奈は不安そうに東郷を見つめる。
「あいつなら大丈夫よ、きっと勝てるわ」
夏凛は余裕そうに呟いた。


―――「…私、ですか?」
私は正直不安だった。私は、お役目の時、武器の性質上敵と直接切り結ぶことはほとんどなかった。ましてや、生きている人間と戦うなんて、それも一番手だなんて…
それでも、夏凛ちゃんは私を先鋒に置きたいようだった。
「そう、あんたよ!先鋒は切込隊長だから、流れを作る重要なポジションよ」
「だったら、友奈ちゃんやそのっちのほうが…」
「だめ、友奈は大将の次に重要な中堅に入ってもらうから。園子でもいいけど、こいつは副将がベストだと思うの。丁度いいから説明するわ」
そう言って夏凛ちゃんは、つい先日まっ皿にした黒板(写真を撮ったが、みんな泣く泣く、一人ずつゆっくり、ゆっくり消した)を使い、説明し始めた。
「先鋒が起点とすると、中堅は砦。中盤を落とされることは、大局においては痛手なの。大将は言わずもがな、絶対に勝たなければならないポジション。対して、次鋒は重要度が低い。んで、副将はその次に優先度が低いわけだけど、終盤ということもあって、場合によっちゃ、大将に試合を託せるように引き分けに持って行けるような、器用で防御力が高い選手が最適、ってわけ」
「え〜っと…もしかしてアテにされてる?」
そのっちはちょっと縮こまって言う。
「超アテにしてるわ」
夏凛ちゃんは何故かドヤ顔でそう言った。
「うわ〜…プレッシャーだよ〜…」
「てちょっと待って、じゃあ樹は次鋒に…?」
「そうよ。剣道初心者だし」
「我が妹が…かませ犬…」
風先輩は崩れ落ちた。それに反して樹ちゃんは喜んでいる。
「やったあ!ありがとうございます夏凛さん!」
「うぇーい…イッつんサティスファクショーン」
「いえーい!ファクション!」
話を戻す。
「では、消去法で私…ということ?」
「いいえ、あんたは秘められた力がある。それを引き出すには…これよ!」


「なっ…あなた、一体その格好は…」
弥勒さんが、鍔迫り合い中に私を見て驚きの声をあげた。
お互いがさっと距離をとる。
私はばっと片手で空を裂き、素早くこう言った。
「国を守れと人
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ