花々と柳の邂逅
勇者部、一日剣道部になる
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「お姉ちゃん…剣道の試合でチアはやめて…」
樹が呆れてそう言った。
もし私の試合中に、風がチアで応援なんてしてきたら!―――
「頑張れー!夏凛ちゃん!」
「ファイトだよー!にぼっしー!」
「夏凛さん、がんばってー!」
「いい調子よ!夏凛ちゃん!」
「フレー!フレー!かーりーん!」
風が勇者部のみんなと一緒に私を応援しながら、チア部のみんなと数々の連携技を決めていく。やがて、その中の二人の重なった腕から、人間とは思えないほど高すぎるジャンプを決め、すたっと着地して、
「いえーい!」
静まり返る体育館。やがて歓声が沸き起こり、試合そっちのけで拍手をしだす相手チーム。
勇者部のみんなも、風に釘付けだ。
「ちょっとー!私の試合、まだ終わってないんだけどー!」
こうなることは想像に難くない。
「でも、本当にいいんですか、風先輩」
友奈が風に遠慮がちに言う。
風はそれを手をぱっぱと振りながら、こう言った。
「いーのよ、きっとアタシの女子力で、剣道部のやつら集中できなくなっちゃうだろうしー!OBは大人しく応援してるわ!」
風はそう言ってばっちりウインクした。
フン…なによ、引退者面しちゃって…
「にぼっしー、ちょっと残念そうだね」
「なっ…別に、風と一緒に試合出たかったとか、全然そんなんじゃないし…」
「だそうですよ、風先輩」
東郷がそう言って、
「まーまー夏凛、これが最後ってわけじゃないし、次はアタシも出るからさ」
「だーかーらー!そんなんじゃないっつーの!」
こいつらはいっつもこうやって私をからかう。確かに、私が素直に言えないからだけど…
「今日はツン、デレデレデレデレって感じだねーにぼっしー!うんうん、また新しいネタを思いついたよ〜」
「デレが多いデレが!…まあいいわ、それじゃあスタメンは、友奈、東郷、樹、園子、それから私ね」
「「「はーい!」」」
「お役目を果たします!」
東郷はいつにも増して表情が凛としている。黙っていれば綺麗なのよね…こいつ。
「やる気だねーわっしー!」
「私も、夏凛ちゃんに習った二刀流で頑張るよ!」
そう、私は友奈に三好流二刀流剣術を教えたことがある。つまり、友奈は私の弟子!世界で二番目に強い剣士だと思っている。
「わ、わたし大丈夫かな…」
樹は不安そうだ。剣道の経験は恐らくないだろうし、まあ当然ね。
「だーいじょうぶよ樹!自慢のアタシの妹なんだから!」
「お姉ちゃん…うん!私、頑張る!」
この姉妹は、こうやっていつもお互いを励ましあっている。きっと、こうやって支えあってきたのね。
「それじゃあ、順番は…先鋒!東郷美森!」
「「「!?」」」
「わ、わたし…?」
果たして、東郷美森の実力は…?
勇者部の、剣道部の、讃州中学の勝利の行方
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