花々と柳の邂逅
勇者部、一日剣道部になる
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「皆さん、今日の依頼は剣道部の助っ人です」
風がやっては意味が無いという勇者部みんなの意見で、いるいないに関わらず、部長らしいことは樹がやることになった。
勇者部の活動は今まで通り、依頼が来たらそれに応え、勇んで手を貸すことだ。
昔は甘いと思ってたけど、もう私にとって、これは当たり前の大切な日常。
「きた!私の出番ね!というか、私一人で充分」
思わずここぞとばかりに机をバンと叩いて立ち上がり、前のめりになって、片手を机に置いたまま拳を握らせた。
剣道部の依頼は定期的にくるのだけど、その度に練習相手として、剣道部のやつらをボコボコにする…私の運動にもなるし、最高の依頼だわ。
「まあまあ落ち着いて夏凛、今回はちょっと事情が違うのよ」
「うん、実は明日、近くの中学と練習試合があるそうなんですけど、もともと部員の少なかったのもあって、讃州中学の剣道部、みんな病気や怪我で出られないそうです」
「ええー!ぜ、全員!」
友奈は目を丸くした。
相変わらずわかりやすいわ…まあ、それが友奈のいいところでもあるんだけど。
「それじゃあ私たちみんなで、剣道部の代わりに試合に出る…てことかな〜?」
園子がすかさず補足した。
「はい、そういうことです」
「じゃあ私たち、一日剣道部だね!」
友奈は燃えてきたー!と両腕を握らせた。
「相変わらず飲み込みが早いわねそのっち…」
「いや〜、剣道着姿のわっしーやみんなが見られると思うと、創作意欲が湧いてくるよ〜」
「!!!友奈ちゃんの剣道着姿…!!!ふふ…私に流れる武士の血が、悠久の時を越えて眼前の剣士の血肉を切り裂かんと燃えているわ…!我が家に伝わる軍刀、銃剣、そして呪いの名刀、婆娑羅一閃・火残の国防刀の力をご覧頂きましょう…!」
「東郷さん…?剣道は竹刀を使うんだよ…?」
友奈は固まった。
どうやら園子は既にやる気満々のようだ。目を輝かせ、期待に胸を膨らませている。
園子は、私たちの動向を小説のネタにしようと思った時にこうなる。
もし私が登場する小説なんて書いてたら…考えるだけで恐ろしい。まあもう手遅れかもしれないけど…。
東郷は、まあいつも通りかな。
「あら?でも剣道の団体戦って確か、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将…五人で行うもののはずです。誰か試合に出られないですね」
東郷が我に返って言う。
「え、それじゃあ…」
友奈があたりを見回した。
「この中で出ないとしたら、誰だろう…?」
園子が、ふわふわと呟いた。
「わ、私は出るからね!もちろん!大将で!」
私が出ないなんて考えられないわ。ここの剣道部の為にも、絶対勝ってやらないと!
「そうね、夏凛はそれでいいと思うわ。じゃあ、引退したアタシが、観客席からチアで応援してあげるわ!」
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