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ドリトル先生と奇麗な薔薇園
第十幕その七
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「視野が広くて教養もあってね」
「だからこそ民衆のことも考えられて」
「薔薇にもなったんだ」
「あの奇麗なお花に」
「そうだよ、そうした意味で薔薇だったんだ」
 心、それがというのです。
「あの人はね、だからね」
「革命がああなっていって」
「民衆の為というよりも革命の為になって」
「それで沢山の人達が罪なく殺されていって」
「どんどん暴力的になっていくことには」
「耐えられなかっただろうね、それに本当にあの人もね」
 オスカルさんご自身もというのです。
「絶対にロベスピエールに危険視されていたから」
「その独裁者だよね」
「沢山の人をギロチンに送った」
「その人だね」
「そう、クロムウェルみたいに高潔だったけれど」
 それでもというのです。
「さっき言ったけれどこの場合高潔だとね」
「かえって危ないのね」
「潔癖過ぎて他の人のことを認められなくなるから」
「クロムウェルみたいなことをしたのね」
「しかももっと酷く」
「オスカルさんは元々貴族で王妃様の傍にいたからね」
 近衛隊の指揮官としてです、このことは物語の序盤にあってとても奇麗な絵柄で描かれているのです。
「そのことでね」
「ううん、革命の敵になるんだ」
「民衆の為に戦った人でも」
「そうなんだ」
「そうだよ、本当にそれだけでね」
 まさにというのです。
「死刑になっていたよ」
「とんでもないね」
「純粋に民衆のことを想うオスカルさんまでなんて」
「もう滅茶苦茶も滅茶苦茶」
「正義も何もないよ」
「そうだよ、革命だけが正義になっていたんだ」
 フランス革命の頃のフランスはです。
「そうなっていったんだ」
「ううん、そう思うとね」
「本当にオスカルさんはいい時に死ねたかも」
「バスチーユで」
「そうだったかも」
「ナポレオン登場まで生きていられなかったね」
 先生の予想ではです。
「結核でもあったし」
「若しロベスピエールに警戒されなくてもね」
「結核もあったしね」
「それなら」
「絶対にロベスピエールや彼が率いているジャコバン派に間違っているって言っていたしね」
 そう言えばどうなるのかは言うまでもありません、独裁者であるロベスピエールと彼の同志達にそんなことを言えば。
「死を恐れずに」
「そしてギロチン台送りね」
「そうなっていた」
「間違いなく」
「そうなっていた可能性も高いし」
 それでというのです。
「いい時に死ねたかもね」
「まさに薔薇は美しく散る」
「そうなれたのね」
「バスチーユで死ねて」
「それで」
「そうも思えるよ、嫌なものを見ずに民衆の為に戦って死ねたから」
 先にアンドレを失っていました、ですがそれでもというのです。
「それも前のめりにね」
「本当に
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