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楽園の御業を使う者
CAST35
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える。

「あれ?摩利さんって真夜さん達の顔知らないの?」

臨戦体勢の二人にこてんと首を傾げる白夜に答えたのは水波だった。

「白夜様。四葉家の者の顔を知るのはほんの一部です」

「そうなの?」

「そうよー。だから私達がこうして九校戦に来ても問題無いのよ」

「ええ、顔を知られていなければ忍ぶ必要ないもの」

「え?でも九島閣下来てるんじゃ…」

「「……………」」

真夜と深夜が揃って顔を背ける。

「だめじゃん」

「案ずるな白夜。九島閣下は九校戦がお好きだ。
この場で四葉に何かする事はない」

「………白夜君。彼は?」

摩利が達也と深雪を目で示して言った。

「達也さん、深雪さん。七草のお嬢様へ自己紹介したら?」

「畏まりました叔母上」

達也が真由美と摩利の目の前に出る。

というよりは深雪を庇うように立つ。

「お初にお目にかかります七草様、渡辺様。
私は四葉達也と申します。覚えて頂かなくて結構です」

「お兄様。その挨拶はどうなんでしょうか…」

「こちらは妹の深雪です。宜しくさせる気はありません」

「達也。お前面白い奴になったな」

「原因がほざくな」

今度は真夜と深夜が挨拶する。

「会うのは初めてね。四葉家の当主をやっているわ。
宜しく、真由美さん、摩利さん」

「ハジメマシテヨツバミヤデス…」

「何故に片言?」

「どう言おうか迷ったのよ…」

「丁寧にするか威圧するか?」

「………………………」

あ、図星か。と白夜が呟き、深夜に小突かれる。

深夜は最近は氏族会議に出席したりしているが、それでも人を束ねたり、相手取る事はなかった。

故に『七草の長女』にどういう態度を取るべきか計りかねたのだ。

「あ、深夜様のガーディアンを勤めています桜井穂波です。
一応水波の叔母にあたります」

取って付けたような穂波の挨拶がされる。

(えーと……白夜君。コレはこっちの番ということかな?)

と摩利が隣の白夜に口パクで尋ねた。

(そうなんじゃないの? っていうか何で俺が読唇術使えるって知ってるの?)

(き、君の兄からきいた)

「渡辺摩利です……(他に何か言うことあるか?)」

(それでいいんじゃない?)

摩利はそれ以上言わず、真由美にアイコンタクトを取る。

「はじめまして、七草真由美です」

真由美が名前だけの自己紹介を済ませると、辺りは静寂に包まれた。

周囲の人の声は聞こえるのに、静寂。

無音でない静寂。

真由美と摩利は何時でもCADを触れる。

達也は既に二人を眼で捉えている。

穂波は防壁のイメージを固めている。
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