06.そうだ、刑務所に逝こう。
第12回
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
琴葉さん達が刑務所から去って行った次の日の朝。
私はけたたましい"銃声"によって、眠りから引き起こされた。
「ウソ………なんで?」
状況に頭が追いつかない。
だって、軍の構成員は昨日全滅したはず。まだ残党が残っていたのだろうか。でも、その状態で琴葉さんがどこかへ言ってしまう事なんてあり得ない。
兎に角急いで着替え、大急ぎで看守寮を飛び出す。
だが、一舎に入ったときにはもう遅かった。
「いや………うそでしょ…………?」
囚人達は鉄格子掴み、必至に揺らしている。ガシャガシャと音が鳴り、不気味な雰囲気を醸し出す。
もう通路の向こう側に軍の構成員が群がっており、手遅れという言葉が頭に浮かぶ。
看守を呼ぶ声と、囚人達の悲鳴が混ざり、一つの不協和音となる。
急いで真横にある看守室に入り、昨日撮った写真を見る。既に印刷されている物だ。
琴葉さんが来てくれるかも知れないという、淡い希望を胸に、写真を拾い上げた。が。
「どうして…………?」
その写真に映っているのは、私だけだった。
琴葉さんの姿が写真から消えている。
『でも、意味無いかも知れないよ?』
ああ、そう言うことだったのか。
琴葉さんはこの世界の人じゃ無い。だから、この世界から去った瞬間に、存在していた事実は、この世界によって消された。だから、写真から琴葉さんの姿が消えている。
もう琴葉さん達はこの世界には来ないだろう。目標は果たしたと思っているのだから。
だから、私達はここで終わる。この状況を切り開く事が出来ず、ここで死ぬ。
廊下から断末魔が聞こえた。
最初の死者が出たんだ。
そう考え、私は写真を持ちながらも、固く手を握る。写真はくしゃくしゃになってしまい、更に目からこぼれ落ちた涙で濡れてしまう。
そして、無意識の内に私は叫んだ。
「助けて………琴葉さんっ!!」
―――主任看守殿が、こんな所で何泣いてんのさ?
爆発音が一舎内に響き渡る。
悲鳴が一舎内に響き渡る。
ドアを開ける音が私の頭の中に反響する。
「やぁ、聖月さん。君達を助けに参上した」
ドアの向こうから、不敵な笑みを浮かべた琴葉さんが姿を現す。
昨日と変わらない、どこまでも不思議な感じを浮かべて。
「琴葉さぁん! 何処ですかー!!」
「コトー! 早く出てきなさいよ! 帰れないでしょー!!」
「琴葉ァ! 仕事が溜まってんだよさっさとしろ!!」
「コトが確認しないと、首領に怒られる」
「琴葉さ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ