第二章
[8]前話
「施設にいた時はお父さんとお母さんに会いたいと思ったこともありました」
「君を産んで育ててくれた」
「ですが今は」
「そう思うこともだね」
「ありません」
一切という返事だった。
「お父さんとお母さんがいますから」
「わかったよ、では君はこれからはね」
「これからは?」
「今もそうだと思うけれどお父さんとお母さんを大切にするんだ」
二人をというのだ。
「そうするんだ」
「そうしていきます」
「そう、君の名前はね」
「アンジュという名前はですか」
「天使だからね」
その言葉の意味だからだというのだ。
「天使の様に清らかに優しくね」
「生きるべきですか」
「そしてその優しさをね」
それをというのだ、彼女が持っている。
「ご両親にも向けるんだよ」
「そうしていきます」
「是非ね。そうしてくれると」
その人は優しい笑みになっていた、その笑みでアンジュに話すのだった。
「私も嬉しいよ」
「嬉しいですか」
「そう、君が今のご両親に出会えたことは運命なんだ」
「運命ですか」
「そう、そしてその運命に従ってね」
「清らかに優しくですか」
「生きて人達を助けていくんだ」
こうアンジュに言うのだった、その名前のまま。
このことを話してだ、そのうえでだった。
その人はアンジュの前から立ち去った、だが一瞬だった。
アンジュはその人の背中に翼がある様に見えた、しかしそれは一瞬のことでアンジュは見間違いかと思った。そうしてだった。
教会の中で働いている両親のところに向かった、そうして二人の仕事を手伝った。その彼女に対して両親も優しい笑顔を向けていた。
天使の名前 完
2018・8・26
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