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真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚
インテグラル・ファクター編
第一層攻略
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場を独占して、ビギナーのことはお構いなしや!奴らはジブンだけポンポン強うなって他はお構い無しや!」
「ひ、酷い……私たちだってβテスターだけど、そんな事してないのに……わ、私!文句言ってくる」
「ダメだ」

俺は立ち上がろうとするコハルの腕を掴む。

「そんな事をすればアイツの思う壺だ。ここは堪えるしかない」
「そんな……」

コハルは悔しそうに中央の舞台を見つめる。コハルの気持ちは分かる。俺だって文句を言ってやりたいが、それを理由に自分たちに危害を加えてくるかもしれないからだ。

「発言いいか?」
 
やがて沈黙を破ったのは、渋い大人の声だった。振り返ると、挙手する厳つい黒人の男性が視界に入る。頭は剃り上げてスキンヘッドである。その姿に若干圧倒される俺たちはその男性を見つめる。

「俺の名前はエギル。キバオウさん、つまりあんたが言いたいことは、今まで多くのプレイヤーたちが死んでいったのは元βテスターたちのせいで、その責任をとってこの場で謝罪と賠償をしろ、ということか?」
「そ、そうや!」
「そうか……。じゃあキバオウさん、あんたは“これ”を知っているか?」
 
そう言って彼がストレージから取り出したのは、俺も良く知っているある本だった。エギルの強面に若干萎縮しつつ、キバオウはそれに答える。
 
「……道具屋で配っとる、ガイドブックやろ?それがどないしたんや」
 
エギルは立ち上がって中央まで進み、全員に見えるように本を掲げる。

「これを配布していたのは元βテスター達だ。情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのにたくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえてどうボスに挑むべきなのか。俺はもっと建設的な話が出来ると思ってここに来たんだがな」

エギルのその言葉がとどめになったようで、キバオウはうなだれて元の位置に戻っていった。話に納得した様子ではなかったが、少なくともこの攻略中に話を蒸し返すことはないだろう。
その後キバオウとエギルが元の位置に着席したのを認め、ディアベルが再び口を開く。
 
「えーっと……じゃあ仕切り直して、これからボス攻略会議を始める!まずは皆、6人パーティを作ってくれ!」
「!?」

ここで俺はある事に気がついた。俺たちの知り合いがいない……。というより、6人も集められるのか?俺のコミュ力が試される場面なのだが、暴発しそうで危ない。

「あ、あれー?そ、そこにいるのは僕の心の友のアヤト君達じゃないかー!」

変に棒読みな一言に俺たちはそちらの方を振り向く。そこにはやけに全力で笑顔を作っているキリトだった。顔中びっしりと汗をかいているところを見ると、

「知り合いが居なかったんだろうなぁ」
「う、ほっとけ!……じゃなかった。頼む!俺をパーティに入れてくれ!」

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