第六十七話 宗教都市その十一
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「そうなるわね」
「はい、まさにでござる」
「ローマ=カトリック教会の法皇様は皇帝」
「むしろ時代によっては」
「皇帝より上だったわよね」
「法皇は太陽、皇帝は月」
バチカンの権威が絶頂にあった頃の法皇インノケンティウス三世の言葉だ、第四回十字軍やアルビジョワ十字軍の残虐行為から歴史的な評判はかなり悪い様だ。
「この場合の皇帝は神聖ローマ皇帝でござった」
「そうだったわね」
「皇帝は法皇に照らされる、即ち認められてこそ」
「そうした存在だったわね」
「当時は」
そうだったというのだ。
「そうした時代もあったでござる」
「そして今の私達の世界でも」
「日本の天皇陛下と同じ礼で迎えられる」
「そうされると言われているわね」
「そしてその法皇にでござる」
「次ぐのが枢機卿ね」
「まさに王侯でござる」
皇帝に等しいかその上にある法皇のすぐ下にいる、だ。
「そしてその王侯の地位と権威を」
「十人目の娘は持っているのね」
「そうした方でござるな」
「そうよね、本当に大物ね」
清音はここで唸った。
「これまでで一番の」
「全くでござる、しかしいいことは」
「いいことはというと」
「女性でも枢機卿になれるでござるからな」
「ああ、そのことね」
「この世界は違うでござるな」
「何でも女性の法皇様もおられたことがあったらしいわ」
清音は進太が女性でも枢機卿になることが出来ることをいいとしたことについてこのことも話した。
「何とね」
「法皇様にもでござるか」
「こっちの世界ではね」
「それはまた」
驚きと共に言う進太だった。
「素晴らしいことでござるな」
「法皇様に相応しい資質があればなれることは」
「誰でもそうであることは」
まさにと言う進太だった。
「非常に素晴らしいことでござるよ」
「そういえばあれだよな」
久志も言ってきた、パエリアの中にあるトマトと鶏肉を共に味わいながら。どちらも香辛料がよく効いている。
「俺達の世界で女の人の法皇様ってな」
「いないっていうのね」
「あれだろ・タロットカードの」
「女法皇ね」
「モデルになった人一人だけだよな」
「その人も実在したかはどうかは」
清音は久志にどうかという顔で話した、ここで赤ワインを飲むがその仕草は荒々しくなく優雅である。
「わからないから」
「実在の人じゃないのか」
「その辺りは諸説あるのよ」
実在人物だったという説と架空の人物だったという説の双方がだ。
「だからね」
「いなかったかも知れないんだな」
「実際はね。ただキリスト教はどうしても男尊女卑の考えがあるから」
その根底、アダムとイブの話からだ。
「だからね」
「女の人の法皇様もか」
「例え過去にいたとしても」
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