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レーヴァティン
第六十七話 宗教都市その十
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「ですがそれでもです」
「ペルとは一旦発生するとね」
「恐ろしいことになります」
「中世の奥州みたいにね」
「あの時欧州はかなりの犠牲者が出ました」
 一説に言うと欧州の人口の三分の一が死んだという、それによって欧州の社会まで変わってしまった程だ。
「そしてこの島でもです」
「それは変わらないね」
「はい、ですから」
「最初からだね」
「そうしたことがない様にすることです」
「だから下水道のことも重要だね」
「そうなります」 
 まさにとだ、順一は源三に答えた。
「ですからこのローマも」
「下水道についてはね」
「内政の一つとしてしっかりしていきましょう」
「そういうことだね」 
 源三は順一のその言葉に頷いた、そうして一行は実際に時間が許す限り街の中を歩いて回った。そうしてだった。
 その中でだ、一行はある噂を聞いた。その噂はというと。
「バチカンの中にいるみたいね」
「うん、どうやらね」
 淳二は清音のその言葉に頷いた、一行は今は居酒屋それも彼等の世界で言うスペインのパルを思わせるそこに入ってワインを飲みつつ話をしている。ワインを共に食べているのもパエリア等スペインの料理だ。
 その中にある鱒のカルパッチョを食べつつだ、淳二は清音に応えていた。
「シスターとしているみたいね」
「シスターではないわよ」
 清音はそこは訂正させた。
「枢機卿よ」
「枢機卿っていうと」
「そうよ、この世界でもカトリックの聖職者でもかなり高位よ」
「法皇様の次にくるね」
 法皇が崩御したなら次の法皇は枢機卿達の中から選ばれる、このことはこちらの世界でも同じことである。
「凄い地位にある人達だね」
「ええ、ただね」
「うん、この島ではね」
「バチカンはあっても法皇様はおられないわ」
 『この島』でのバチカンではだ。
「おられるのは下のね」
「海に覆われている世界にね」
「おられるわよ」
「そうだったよね」
「ええ、しかもね」
「その法皇様は今はおられなくて」
「丁度前の法皇様が崩御された時に」
 まさにその時になのだ。
「世界は石に変えられて」
「海の中に沈められているね」
「そうみたいね」
「都合がいいね、それで今は」
「そう、この島のバチカンはね」
 ここはというと。
「数人の枢機卿の合議制よ」
「それでまとまっているんだったね」
「そして首座の枢機卿の人が」
「ローマの首長でもあるね」
「この島のローマのね」
「そうだったよね」
「その枢機卿の一人に」
 ここでさらに言った清音だった。
「十人目の娘がいるみたいね」
「そうだね」
「大物ね、今回は」
 清音は赤ワイン、木の杯の中のそれを飲みつつ言った。
「枢機卿なんて」
「はい、その地位と権威は」

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