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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
最終章 蛇王再殺
第三十七話 王妃懐妊
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渡しておいた小箱、それは投げて何かに当たると芸香が辺りに撒き散らされる仕掛けがしてあった。ペシャワールにヴァフリーズ老の密書を奪いに来たサンジェが引っかかったのと同じような仕組みだ。ただ、これの場合は当たらなければ意味がない。それを当てる前に当たっても何にもならないような無害なものを幾つも投げろと伝えておいたからな。無駄な抵抗だと笑って避けずに受け止めるならばもうこっちのもの。まともに喰らって身動きも出来ないままなますの様に切り刻まれるがいいさ。

これで暗灰色の衣の魔道士は尊師とグルガーンの二人のみ、グルガーンはこちらの内通者だから実質あと一人になった訳だ。尊師の次の動きはおそらく宝剣ルクナバードを奪いに来るというものになるはずだ。俺たちという主役も戻り、役者は揃った。さあ、デマヴァント山へ向かおうか!

◇◇

「ガズダハムが死んだようです。我ら弟子は元々七人おりましたのに、とうとう私一人になってしまいました」

私、グルガーンは内心のざまあみろとの思いを必死に押し隠して、沈痛な表情を作った。が、尊師はそれを見てさえいなかった。そういう御方なのだ。実のところ私たち弟子の生き死になど意に介しもしないのだ。

「ふん、どいつもこいつも未熟者ばかりじゃ。口ほどにもないのう」

「ザッハーク様の依代とする予定だったアンドラゴラスの遺体もラジェンドラ王子の配下に奪われ、跡形もなく溶かされてしまいました。この上我々はどうすればよいのでしょう。もう、打つ手などないのではないでしょうか?」

こう言えば、この御方はかえってムキになることだろう。

「まだだ!まだ終わりではない!そうじゃ、ルクナバードじゃ!あれさえ、奴らの手から奪い取って破壊してしまえば、奴らこそ打つ手が無くなるであろう!」

「おお、さすがは尊師!ではこの私が参りましょう!」

「いや、お主が行く必要はない。お主は儂に万が一のことがあった場合に、儂の復活の手筈を整えてもらわねばならぬ。今から言うものを用意するのじゃ。それが揃ったのを確認次第、儂はデマヴァント山へ向かうとしよう!」

そうですね、揃えはしますよ。使いはしませんがね。
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