第3章 儚想のエレジー 2024/10
24話 真意
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ついての情報を全く知らない。ティルネルやヒヨリなら何か情報を得ているのだろうが、こういう時に無知でいるのは我ながら居た堪れない。それを察してくれてか、アルゴが当時の出来事を説明してくれた。
「一週間くらい前に、軍の独断専行で七十四層のフロアボスにちょっかいを出したって事件があったんだヨ。セオリーなんてあったモンじゃない、人数も少なければ装備も整っていない状態で、オマケに情報収集もしていない軍からは三名の犠牲者を出したけど、たまたま近くにいたキー坊やアーちゃん達に助けられてどうにかボスも倒しちまった、ってオチなんダ」
「この辺りの層のボスに通用するくらい軍がレベリングを推し進めていたのか?」
「ボス戦に駆り出されたプレイヤーはそれなりに通用するステータスだったんだろうけど、軍の部隊は早々に戦意を喪失していたみたいダ」
どのようにフロアボスを退けたのかが不明であったりとどうにも腑に落ちない話だが、論点が逸れてしまいそうなので追及はしないでおく。しかし、過ぎてしまった話というのがどうにも救えない話だが、キバオウが見過ごすとも考えられない。だからこそ、彼は軍の本拠地を単身抜け出してきたのだろう。
キバオウは面目ないとばかりに項垂れている。伏しがちな表情は心痛が読み取れるが、奥歯を噛みしめて目を見開いては視線をこちらに向けた。
「今のワシもシンカーと変わらん。全部を投げて知らんふりして逃げとった。けど、このままじゃいかん。軍は変わりよった。戦う力のないプレイヤーを虐げて、アホどもがのさばって命を捨てるような無茶しよる………ディアベルはんに顔向けできん。だから、ワシもこれから軍の実情を知るフリをしてホンマの目的に誘導しようとしとった………せやけど、そりゃ卑怯やな。やっぱりこういう事は正直に言わなあかん」
次の瞬間、キバオウは椅子から立って床に膝をついていた。
そして、両の手を床について頭を下げる。床に向けられた口から押し殺した濁声が響く。
「改めて頼む。………ALSを………いや、《軍》を潰してくれんか」
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