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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 儚想のエレジー  2024/10
24話 真意
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疑わしき部分を掠めたと判断するに余りある材料だ。キバオウの発言を待とうと構えるが、しかし意外にも間をおくことなく彼は頭を下げた。その姿は何故か、猛然と振り降ろされるモーニングスターを想起させたが、言わぬが花というやつだろう。


「………すまん。まだ、ホンマのことを言えてへん。………むしろ、シラを切り通すつもりやった」


 やはり、予想通りの言葉を聞く結果となった。
 だが、違和感に薄々勘付いていながらも目に前の煩わしさを理由に現実逃避しようとしていた俺には責める権利などあろうはずもない。しかし、何も知らないまま闇雲に突き進むというスタンスを維持するには無責任な状況にあるというだけだ。その為には、キバオウの真意を確かめるより他ないのだから。


「で、実際はどうなんだ?」
「何も知らされてないちゅうんはホンマや。ワシはあくまでも御輿で何も聞かされんし、他の連中が好き勝手やっとる。新顔も多いみたいやけど、どんなのがおるのかも全く知らん。これは嘘やない」


 一拍置き、キバオウは再び話を始める。


「せやけど、二週間前くらいやったか。ワシは連中がコソコソと話しとるのを立ち聞きしてもうた。そん時に言っとったんや。ウチのモンだけで、フロアボスと戦うっちゅう話やった」


 思わず目が見開いた。
 人員が潤沢な軍ならば自前の頭数でフルレイドを組むことも難しくはないだろう。ただし、人数を揃えるだけで乗り越えられるほどフロアボス攻略は優しくない。情報収集や装備、フロアボスの特性に合った人員配置の打ち合わせ等、相応の準備を経て行われるものだ。軍がボス攻略会議に出席したとなれば、昨今の攻略組の情報に疎い俺の耳にも入る程の騒ぎになるだろう。しかし、実情は何も音沙汰のないままだ。おまけにフロアボス攻略会議は、ボスが齎す得難いリソースによってそれ自体の情報機密性の高い会議となっている。古参や新進気鋭問わず、誰かが死亡して戦線の崩壊を防ぐという意味合いでレベル面での敷居も高いが、何よりも青竜連合や血盟騎士団のような大型ギルドの利権が水面下で絡み合っているだけに生半可な理由では参加することさえ難しい。これらの条件から鑑みて、軍は間違いなく攻略会議の席に着けていないだろう。
 つまり、軍がフロアボスに挑むとなれば、敵の情報を持たぬままに攻略組の選抜レイドよりも先んじてフロアボスに戦闘を挑むという選択肢しかない。どう考えても自殺行為だ。あまりにも絶望的な状況を語ったキバオウに割り込むように、アルゴは鋭くキバオウに問うた。


「二週間前ってことは、あの七十四層フロアボス攻略のことカ!?」


 キバオウは無言のまま俯きながら、静かに深く頷いて答える。
 厭世的に引き籠っていた期間に起きた出来事だからだろう。俺はフロアボス攻略に
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