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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 儚想のエレジー  2024/10
24話 真意
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んな目利きで人材を選んだかまでは知らんし、いつどんなのが来たかなんてのも把握しとらん。せやけど、あんボケどもが攻略の前線におったっちゅう記憶はない。それだけは断言できる」
「そうか、なるほど」


 ある種の記憶の補完というか照合を兼ねての質問だったが、概ね予想通りだった。
 これで一つ事実関係が確定したが、今はそのことをキバオウに語るべきではないだろう。直情的な行動に訴えられれば事態は彼の望む方向に進展しないのだから。


「しっかし、そんな質問に意味があるんか?」
「いや、然して意味は無い。強いて言うなら世間話程度だが」
「だが………って、なんや、言うてみい」


 言葉尻に目敏く指摘するキバオウに、全容から遠ざけながら一言だけ告げた。


「アンタは人を見る目がないわけじゃなかった、ということが分かった」
「それがなんや?」
「意味は無い、かも知れない。とだけ言っておこうか」
「………ハッキリせんのう」


 ごちるキバオウを後目に、アプローチする手法としての仮説が組めた。
 だが、未だ未知数も多く闇雲に行動するには尚早な感もある。それらを払拭する為に必要なものは即ち情報である。そして、情報を扱うに当たって俺の知る限り最も長けた人物のうち、尚且つその分野にまで精査した上で誂え向きの者といえばおよそ一人しかいない。気は進まないが、それに賭けて無駄足だったならば別の手段も控えている。どうあれこの段階は他力本願になりそうだ。


「とりあえずはこの層で出来ることは今のところもうない。移動する頃合いだろう」
「でも、もしまた先の顔触れで諍いが起きたら今度は対応の仕様がないんじゃないですか?」
「せやな。あの連中が顔合わせようもんなら、次は爺さんも遠慮無しに何かしよるんは目に見えとる」


 ティルネルの問題提起に、キバオウが追従する。
 ごもっともな意見だが、その点については相応に懸念を払拭しうる材料があっての判断だ。


「爺さんの方は、あの手口を見る限りかなり狡猾というか周到に状況が整わないと行動に移らない筈だ。例えば、さっきのPKなんかは相手に警戒心があったら成立しない。その点で言えば今の軍の連中はかなり怯えている頃合いだ。向こう数日は圏内からも出られない程度には警戒心が張り詰めているだろうよ」
「………つまり、睨み合いの膠着状態っちゅうことか」
「爺さんも軍も短絡的じゃなければ、って条件がつくけどな。だがこれは喧嘩や弱い者いびりの範疇を越えてもはや命の遣り取りだ。これだけ長く生き延びたSAOプレイヤーであるならば弁えているべき一線だ」


 ともあれ、あくまでも希望的観測だ。
 ついさっき目の当たりにした彼等の行動原理を完全に把握できているなどあるわけないし、そもそも見誤
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