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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
最終章 蛇王再殺
第三十六話 隻眼獅子
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た事があるが…。余り幸せな結婚ではなかったのか?」
「ああ、母は親に言われて仕方なくで、父は恩人に乞われてやむを得ず、でな。祖父の前では取り繕っていたものの、冷え切った家庭だった。おまけにお貴族どもは俺の生まれが気に食わぬらしくて頻りに絡んでくるわ、王も俺を持て余しているわ、でな。パルスは俺にとって窮屈な国だった。アルスラーン殿下はよく知らんが、真面目そうでどうもな。友もいたが別にいつもベッタリ一緒にいる必要もあるまい。俺は何処か他所でのんびり暮らしたいのさ」
「なるほど。ではクバード。お主、マルヤムに来ないか?俺はこの通り片親は賤民でお高く止まるのは苦手だし、妻は豪快な武人でな。マルヤムはこれから取り戻すところだが、俺らには窮屈な国なんて創ろうったって創れんだろう。お主がのんびりと怠けてられる国にしてやるさ」
む、なかなか心惹かれる言葉を並べてくれる御仁だな。しかし、あの病人たちをどうするべきか。そんな思いは思い切り顔に出ていたのだろう。心配するなとこの男は笑ってくれた。
「マヌーチュルフのご家族に関してはキシュワードに任せればいい。あいつ、ナスリーン殿のことをひどく心配してたからな。連絡したら血相変えて飛んでくるぞ、あいつ。義理堅いキシュワードのことだ。お主のことを、一生恩に着てくれるだろうさ」
そうか、ならば心配は要らぬか。では心置きなく、
「かたじけない。そういうことであれば、世話になろう。出来ることだけはさせて頂く」
「おう、出来る範囲でやってくれ。まあ、まずはルシタニア兵の駆逐。その後は蛇王ザッハーク討伐を手伝ってくれ」
ザッハーク、その名を聞くだけで、全身が粟立つ。
「ざ、ザッハークをか?しかし、あやつは封印されているはず…」
「封印されてからもう三百年だしな。復活を目指して怪しい輩も動いているようだ。そろそろ起きてくるかもしれんが、地獄へ叩き返してやろう。そうでないとこっちが安眠できんからな。あ、それより前から気になっていたことがあるんだが、一つ聞いてもいいか?」
「ああ、別に構わぬが…」
ザッハークより気になることがあると?
「お主、自分で自分を『隻眼の獅子』とか言ってて、恥ずかしくないのか?」
ニヤニヤと冷やかすような表情だ。こ、この御方は!
「い、いや、いいではないか!自分では格好いいと思うのだ。それを言うならキシュワードだって、『双刀将軍と呼べ』とか自分で言ってるではないか!あやつこそ、持ってるのは両方とも刀ではなく剣なのに、それで何故双刀なのだと誰もが思ってるのに!」
この御方、ザッハークの名を聞いて顔を強張らせた俺の心を和らげようと、そう思ってくれたのだな、きっと。面白い、実に面白い御方だ。この御方に対してならば、臣下たる者の責務って奴
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