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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
最終章 蛇王再殺
第三十六話 隻眼獅子
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めたのだが、ザーブル城に近い辺りで噂は更に変化した。敗残兵どもは無人と思われていたザーブル城に住み着いていた集団の一人の男にことごとく斬殺されてしまったという。
「一人の男にか!どんな男だ?」
話してくれた農民の男によると、年齢は三十前後、長身で筋骨たくましく、左目が潰れていると言う。病人を抱えているのでこの場所から離れられないとも言っていたそうだ。
ちょっと待て、その特徴、心当たりがあり過ぎるんだが。そう言えば、原作でヒルメスがザーブル城攻略に向かったのって、今ぐらいの時期だったような。そして、ザーブル城からそう遠くない場所にいたその男をサームが見つけたのだった。
ちょっと会いに行ってみるか、医者のレイラをつれて。
◇◇
俺、クバードはその男を俺の部屋に誘った。
「むさ苦しいところですまんが、その辺にでもかけてくれ」
「別に気にせんよ。お邪魔させて頂こう」
妙な男だ。シンドゥラの王子様らしいが余りそうは見えん。身に付けている衣服も安物でこそないが、その身分に見合ったものとは思えない。まあ、何にせよ、医者を連れてきてくれた恩人だからな。話を聞きたいと言うなら、幾らでも聞かせてやるべきだろう。俺は秘蔵の酒を出してやり、この男、ラジェンドラに注いでやった。飲み干したこの男は「いい酒だ、実に沁みる」と笑った。気持ちのいい笑顔だった。
「で、お主は何故あの病人たちと一緒なんだ?お主、アトロパテネの戦いに参加した軍人だったんだろ?」
「おお、俺の名はクバード。人呼んで『隻眼の獅子』だ。あの戦いの後、俺の元には百騎ほどの部下が残ってな。その辺の村々を回ってはルシタニアの盗人どもを退治しては報酬を貰うという事を繰り返していたんだが、ある村であの病人とその家族を拾ってな。聞けばマヌーチュルフの奥方で、娘はキシュワードの婚約者ということだったんで護衛を買って出てここまで来たんだが、体調を崩されて、ここで静養してもらっていたところだ」
「なるほど、それでサハルード平原の会戦に間に合わなかった訳か」
「いや、そうでなくても行くつもりは無かった。俺はもうパルスへの義理は果たした。病人たちと部下を誰かに任せられるなら、パルスを出ようかと思ってたところでな」
「ああ、『逃げ出した君主に忠誠など誓えるものか』ってことか。だが、アンドラゴラスなら死んだぞ?それにアルスラーンならもっとマシな政をするはずだしな」
おや、その言葉伝わってるのか?人の口には戸を立てられないってことか。何処で誰が聞いてるか判らぬな。
「いや、俺はそもそもパルスにはいい思い出がないのでな。聞いたことがないか?俺は平民の子でな。猟師だった親父の腕と力を見込んだ百騎長が娘と結婚させて生まれたのが俺なのさ」
「ああ、それは聞い
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