06.そうだ、刑務所に逝こう。
第10回
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遊び感覚で敵と戦う琴葉さん。向かってきた敵を、焦ること無く返り討ちにしていく。
それでも、「能力」とか言うものは使っていないようだった。
「あの、琴葉さんは能力を使わないんですか?」葉月さんに問うと、数秒の間悩んでいるような素振りを見せる。その後、「能力使って良いぞー」と琴葉さんへ向け指示を出す。すると「はーい」と軽い返事が返ってくる。
火を操り、水を操り、風を操る。空間を操り、時間さえも操る。
「綺麗……」
ポツリと言葉が溢れる。全員が目の前で戦う琴葉さんの姿に見惚れている。
ただただ美しい光景を、この場の全員が息を呑んで眺めていた。
◇ ◆ ◇
「ウソでしょ……」
「嘘じゃないよ〜」
「ウソ………」
「嘘じゃなぁいよ〜」
目の前にはこれ以上は無いというほどの満面の笑みを浮かべた琴葉さん。半袖のカッターシャツにベスト、スラックスに包帯、黒革の手袋。外套を脱いだ以外、最初と変わらない姿で立っていた。
「ひ、一人で全て倒すって……もうチートじゃないですか!!」
「ち、チートだって!? 酷いじゃ無いか!!」
「だって、え、ウソでしょ!?」
「だから、嘘じゃ無いって。何なら、確かめてあげようか?」
「……痛っ………現実なのね」
「ふははは、私が嘘を吐く訳無かろう!」
「会ってそんなに立ってないから、まだ分からないわ………」
「あ、漸く敬語外してくれた」
「え、あ! ……すいません」
「いーよいーよ。敬語付けさせてるのは部下だけだし」
「……分かったわ」
琴葉さんと二人でそっと笑う。
「よーし、じゃあ帰りますか」
「え?」
全て笑いきったのか、急に静かな表情をして、琴葉さんは言う。その後ろで、葉月さんや時雨さんが頷いている。
そうだ。琴葉さん達はずっとここにいるわけでは無い。帰るべきところがある。
「帰ったら、また仕事が溜まってるんだよねぇ……それに、この怪我を部下に如何誤魔化すか、考えないとなぁ………」
「………ぁ」
私達に興味を失ったように、琴葉さんは歩いていく。反射的に手を伸ばすが、その手は空しく空を切る。
このまま、お礼も言えないまま行ってしまうの?
「……琴葉さんっ!」琴葉さんが止まってくれるように、声を張り上げる。すると、キュとブーツの底から音が鳴り、琴葉さんは振り返る。
不思議そうな視線が、こちらに向けられる。
「ありがとう……良ければ、写真、撮らない? 忘れないように」私がそう言えば、琴葉さんはもっと不思議そうな顔をしてから微笑む。
「でも、意味無いかも知れないよ?」
この時、私は琴葉さんの言った言葉の意味が分からなかった。
この言葉の意味を知るのは、琴葉さん達がこの
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