西暦編
第六話 タイム・リミットA
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る。
先日の時計塔陥落、連日続く大規模な侵攻、急激に増した敵の戦力、
「分かりやすいな―――――次は、ここを落とすつもりってことか」
携帯から新たな警報音が鳴る。これで、日が変わってから十三度目の侵攻だ。
音色の違いから方角を把握し最短で迎撃すべく、人影は薄闇の空を舞う。
守護者の奮戦を以てしても、喰い破られた穴は塞ぎきれない。
不運だったのは、化け物どもの目的が士郎ではなかったことか。あれらは、人間を殺すことを目的としているが、本能に従い動いているだけの獣でもない。
進化体ですら屠る守護者は、化け物にとっても厄介な存在だろう。
だが、それ以上に目障りなのが、この都市全域を覆う結界――――破るたびに変質し、侵入を制限する魔術の防壁。
故に、あれらが目指すはその根源。
大聖杯の眠る円蔵山へと、狙撃手の眼を逃れた侵入者は殺到する。運の強い一が、他と合流して五となり、いつしか十を超えた集団がいくつも霊山の麓に辿り着いた。
あの忌々しい弓兵も、化け物の狙いに気づいているかもしれない。
だが、既に状況は、士郎一人の手には余るものになっていた。山の一団を排除する隙に、今度は幾つかの百の侵攻を許す羽目になる。拮抗している戦線は後手へと追いやられ、いずれは封殺されてしまう。
「――――言葉は刃に、私の影は大気を阻む……!」
だが、それは士郎一人で対処をした場合の話だ。
円蔵山の周囲に屹立する黒い影。その身体に触れればどんな結末が待ち受けているか、知識を共有している化け物たちは侵入を強行することができないでいる。
御山へ上る階段の前、影を従えた桜は姿形を変えていく敵をまっすぐに見据えた。
「ここから先は、通しません――――志は確かに、私の影は剣を振るう……!」
歌う声は従僕を繰る。
直後、地面から影に拘束された巨体が躍り出た。
魚の姿をした、地面を潜行できる進化型。無慈悲な触手は、獲物を覆い包むと虚数の海に埋没させる。
「は――――――ぁ、は――――――ッ! く、このぉ……ッ!」
怯む様子すらなく襲いかかる化け物を、影の巨人が喰らい尽くす。
桜の魔術は、化け物に対して有効だった。
虚数空間に囚われたものには、適応する間も与えられない。動くことも許されず、融解され、魔力として吸収される。
「…………は、ぁ――――――、まだ、いける……ッ!」
大規模な侵攻が始まり四日。
大聖杯を護る桜も、既に限界は目前だった。
体力も尽き、魔力は生命を削り絞り出して補っている。どれだけ迎撃しても限りのない襲撃の嵐は、心をへし折るには十分なほど。
彼女が今なお魔術を行使できているのは、たった一つの決意から。
――――――今度こそ、護り切ってみせる
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